郵政民営化とは日本国を売り渡すことだ
小泉政治が続けば日本は地上から消え失せる
小泉政治が続けば日本は地上から消え失せる・・・亀井
中村 亀井さんは2年前の総選挙で、「小泉政治の転換なくして、日本国民の幸せはない」と主張し、小泉さんと戦った。その後も、「一を似てこれを貫く」という姿勢で今日に至っておられますね。
亀井 4年前に誕生した小泉政権は、ブッシュ大統領の具体的要請を丸受けして、やってはならないことを次々に実行してきた。国民は「第3の開国」「グローバリゼーション」といったフレーズにだまされて、その結果、日本国が崩壊し始めている。
それにも拘わらず、いまだに国民の支持率は40数%もある。このまま小泉政治が継続すれば、この日本国は地上から消え失せてしまうのではないかと、私は心配し、危機感を持っている。
しかし、この20数年来の日本国のありようの結果が小泉首相を誕生させただけに、首相の首をすげ替えるだけで、一挙にこの危機的状況から脱却できるという生易しい状況ではない。大半の国民が、これまで日本人の持っていた価値観や精神性をこの20数年来、投げ捨ててしまった。これをどうするか、深刻な問題だ。
一方で、小泉首相は党や国会を無視した政治を行っている、これらの状況に対して我々は、思い切った対応を取らねばならないと考えています。
実は、いまの日本の状況はアメリカの51番目の州に近い存在だ。実際に51番目の州に組み込まれているなら利害も共有できる。しかし現状の日本は単にアメリカにうまく利用され、安全保障問題でも経済問題でも、アメリカの世界戦略に一方的に奉仕させられているだけだと、私は考えています。
経済問題でいえば、我々日本人の個人金融資金14000兆円のうち、一時的に有利な条件を求めて既に約400兆円がアメリカに移転してしまった。我々がこの資産を活用しないで、アメリカによってイラク戦争やアメリカ人の生活の下支えに使われてしまっている。小泉政権下の4年間で、こうした構図が意識的に強化されています。
日本外交はアメリカの金太郎飴だ・・・亀井
中村 小泉政治の4年間で日本国と日本社会が崩壊に追い込まれるような政治が、「構造改革」という美名のもとに行われてきた。そこに国民は気づかなければならないということですね。
まず、なぜ小泉政治が駄目なのか、お聞きしたい。
亀井さんは「日米関係は大切だが、それは一方的にアメリカにサービスすることではない」というご意見もお持ちです。
政治家としてこの信念を、今後も貫きますか。
亀井 私は日米協調が何よりも大切だと思っています。しかし、そのことと、アメリカの方針・指示に盲目的に従うことは違う。
アメリカは世界の警察官として行動することは当然だし、そうあってほしい。一般市民は概して、勝手で分からず屋です。しかしその市民の支持がなければ警察の仕事は勤まらない。アメリカも自国の価値判断だけでなく、世界の人々の声に耳を傾けた上で対応していくべきだと思います。
しかし、日本はアメリカのパートナーとして、率直にアドバイスする心構えを失っている。3月に来日したアーミテージ前国務副長官も同様の発言をしている。アメリカがイラク戦争を始めるに際し、ドイツ、フランス、中国など各国が反対しましたが、その時、同盟国である日本がアメリカ再考を促し、推し進めていれば今日のような国際政治の混乱は避けられたかもしれない。日本は違った意味での「社会貢献」ができたはずです。
京都議議定書の問題でもアメリカは批准しないと言っているが、かけがえのない地球環境を守るという 観点から、最も地球を汚染しているアメリカがまず批准し、地球環境を守る行動を率先垂範していって、他国にも同調を促すべきです。
小泉首相はそうしたアドバイスをやっていますか。アメリカに対してキッチリ話をつけるどころか、アメリカの追認ばかりをしている。これではアメリカのエゴイスティックな世界戦略には貢献しても、それが人類に対する貢献になったとは到底言えません。
中村 小泉首相は、ブッシュ大統領のところに行って愛想笑いで握手をしたり、キャッチボールをしたり、つまり、見せかけだけの外交ということですね。
今年9月の国連総会に向けて、日本は常任理事国入りを目指すという。ただし、拒否権なしの常任理事国です。小泉首相は一発逆転ホームランを打つ気でいるのでしょうが、いくらブッシュ大統領にゴマをすっても、最近の状況を見ると、中国や韓国が日本の国連常任理事国入りに強硬に反対している。
小泉外交は失敗だということですね。
亀井 いまの日本外交は、言わばアメリカの金太郎飴にすぎない。アメリカと全く同じ発言をし、行動しているだけです。アメリカの意向に唯々諾々と従うだけで、独自の主張のできない日本であれば、たとえ拒否権が付与されない二流の常任理事国であっても、常任理事国になる意味がないということになる。
日本独自の外交、立場、路線、洗濯があって初めて日本の存在理由もあるし、世界各国からの期待とコンセンサスも得られる。
日本としては、国際貢献とは何か、何をすべきか、世界に果たす日本の役割とは何かを真剣に考え、地球規模の国際貢献をやっていくという決意と実績を作っていかなければならない。
アメリカを盾にして、相当の国連分担金を払っているとか、巨額のODAを世界各国に供与しているからといって、常任理事国に入るなどということは到底無理ですよ。
現状の日米関係は主人と奴隷の関係だ・・・亀井
中村 アメリカはいま貿易も財政も大赤字で、毎年数千億ドルの外資をガブ飲みしています。日本が買い入れているアメリカ国債が、実はアメリカの財政を支えている。
一般大衆には、アメリカの財政を支えているのは日本だという事実はよく知られてませんね。
亀井 アメリカ国民も日本に貢献してもらっているとは思っていない。アメリカからすれば、感謝の気持ちがあればまだしも、日本から「召し上げている」ような感覚があるのかもしれません。
現状の日米関係は、主人と奴隷の関係ですよ。
いまの日本は「金さえあれば何でもできる」「マネーゲームこそが経済だ」という雰囲気が支配しています。今回、私は「神風」が吹いたと考えています。それば「ライブドア騒動」です。堀江貴文氏がニッポン放送に対してとった一連のアメリカ的手法「敵対的買収」がそうです。最近の経営者は、従業員や下請け、孫請けを人間として扱うのではなく、利益を上げるための道具、金儲けの道具だと思っている。かつての経営手法と全然違います。
天然資源がなく、台風や地震が頻繁に襲うこの日本列島で、日本民族がこれまでやってこれたのはマンパワーを日本流に爆発させてきたから、不利な環境に対応できた。しかし、その日本国は最大の資源である人間を道具扱いするような、アメリカ流経済に転換しつつある。
また、規制談話を声高らかに叫ぶオリックス会長の宮内義彦氏のような財界人が、自らの利益追求を目的にして、政府の諮問機関や政府を仕切っている。そうした状況下で、堀江氏による今回のライブドア騒動が持ち上がった。
一般国民はようやく、「社長や従業員すべてが堂々と努力してきた成果を、彼らはパッとお金の力で横取りしてしまう。これはひどい。アメリカ的手法は良くない」と思い始めたわけです。
さらに問題なのは、ライブドアが用意した800億円はリーマン・ブラザーズから提供を受けていたことです、ハゲタカ・ファンドのような外資は、20分の1、30分の1の価格で日本の資産を買収して転売し、利益を上げている。それも「グローバリゼーション」だからやむを得ないという状況です。
実は今国会で、政府は我々の知らないうちに商法改正案を作って、外資が自社株を使って日本企業の買収を可能にする準備をしていましたが、これは我々が強く反対して1年間凍結させた。株式の時価総額が日本の数倍の外資に狙われたら、大手自動車会社や電力会社でさえ、あっという間に買収されてしまいますよ。
企業会計基準の改正もグローバリゼーションに合わせて行われ、その基準に合わなければRCC・整理回収機構に送られ、そのRCCは弁護士と外資が裏契約を結んで好きなようにやっている。まじめな日本の経営者は何とか経営再建を目指して努力しているのに、融資を受けられずにみな破産です。ひどいものだ。
小泉政権の下で地域社会の崩壊が進んでいる・・・中村
中村 小泉政権の下で、アメリカ型の経済価値観が無差別に入っています。その結果怒っているのは、地域社会の崩壊です。
そしていま、日本国民の所得構造の二極化が進んでいます。大都市と地方、大企業と小中企業、高額所得者と恵まれない人、常用労働者とフリーターの格差が進行している。このままでは日本の良き伝統やしきたりが崩れてしまう。
亀井 郵政民営化が行われれば、地方経済、地方財政は完璧に崩壊します。実は、もう音を立てて崩れており、地方からは切実な悲鳴が上がってきている。
小泉総理は「三位一体改革」を進めようとしているが、地方交付税や補助金を減らし、財政手当なしで、コマ切れの権限委譲を進めている。地方はそれに反対しています。
しかし、三位一体改革に反対すると補助金が減らされるという恐れから、反対でも賛成の顔をし、腰が引けている。多勢に無勢、地方政治はどうすれば「得」になるかだけで行動しています。
地方経済は本当に深刻な現状で、大阪地区はまだよいとして、中京地区だってひどい。名古屋経済は良いと言われるが、それは一部の大企業だけ、二次、三次下請けは大変な状況です。
国民所得も年間500兆円から全く増えず、むしろ縮んでいる。小泉政治の結果、パイが小さくなる中で、大企業だけが史上空前の高利益を上げている。その一方で、中小・零細企業や現場で働く方々の配分が減って、従業員が解雇され、失業保険で救済するような事態になっている。この問題は前回の総裁選の大きな争点で、私は3〜4%の成長率でパイを膨らませるべきだと主張した。
昔の松下電器の創設者松下幸之助さんや東レの前だ勝之助さんなどのように、労使一体となって、下請け孫請けがお互いパイを分け合い、従業員の幸せを目指す家庭的な経営に向けて努力する経営者がいなくなってしまった。日本のよき伝統や慣行が失われてしまいましたね。
現状は不景気だといっては首切り、人件費の抑制が横行している一方、大企業の利益だけは上がっている。マルクス誕生以前のアダム・スミスの時代に戻ってしまった。
悲劇的な状況がいま、日本社会で起きていると思います。
中村 その結果、近年、犯罪が多発し、中高年の自殺者が急増しています。この問題は実に深刻です。
亀井 現在、経済的理由による自殺者が年に1万人、全体で3万5千人にもなる。中小企業経営者の自殺の急増や無理心中、さらに深刻なのはインターネットで知り合っただけの見ず知らずの人たちによる集団自殺が激増していることです。信仰や恋愛に絡んだ心中はこれまでもありましたが、見ず知らずの人同士の集団自殺はかつてなかった。世界を見ても日本だけの特殊な社会現象だ。最近では珍しくもなくなってマスコミでもベタ記事扱いで、国民も驚かないという異常な状況です。
もはや景気を超えた問題です。このような社会になったのもこの3〜4年で、小泉政治が始まってからです。日本国民、特に若者がこの世に希望を持てなくなっている。彼らを、ただが1億数千間人のほんの一握りの例外と考えるべきではなく、日本全体を反映した鏡だと見るべきです。
中村 これまでの日本の特徴であった中間層の存在が、小泉政治の自称「構造改革」で崩壊しつつあります。今の状況が続けば、上下の二極分化が進み中間層がなくなってしまいます。
亀井 日本はかつての安定性を失っている。上はマネーゲームで一攫千金を狙い、巨万の富を得ていく一方で、下は定職の持てないフリーターや失業者が増加しています。かつての学生運動、革命運動が高揚する代わりに犯罪予備軍に流れています。アメリカでは警察官だけでは頼りにならず、富裕層はガードマンに頼っているが、日本もアメリカ型社会になりつつあります。
かつてのヒットラーでもやらなかった手法・・・亀井
中村 まさに内政・外政ともに病的状況といったところですね。
亀井さんは小泉首相を、「かつてのヒットラーでもやらなかった手法」と、その政治手法を厳しく批判し、政党政治の原則を無視していると指摘しておられますね。
亀井 小泉首相は党内で慎重論の高まっている郵政民営化について「奇跡を起こす」と発言した。これは予言者のような発言であり、政治家の言葉ではない。また「勘で政治をやっている」とも言っている。私は小泉首相の精神状態に危惧を感じています。
首相にリーダーシップが必要なことは論ずるまでもありませんが、唯我独尊の小泉首相は「自分を選んだ基盤である党や支援者とも袂を分かたなければ仕事はできない」とまで言っている。
私は4年前の総裁選で、小泉さんが9項目の合意をしたからこそ彼を支持した。にも拘わらず、その後この合意は見事に反故された。これほどまでに無視された自分が恥ずかしくもある。
小泉手法は権力を得るための便宜主義であり、プロセスを全く無視しています。世界の独裁者といえども、ここまではやっていない。議会制民主主義とは縁もゆかりもない発想ですね。
郵政民営化とは日本国を売り渡すことだ・・・亀井
中村 次に郵政民営化問題です。小泉首相が改革の本丸と位置づける郵政民営化を行えば、地域社会は決定的に崩壊するとおっしゃいましたが、それはどういう理由からですか。
亀井 郵便局ネットワークは国民の毛細血管であり、地方の毛細神経です。従来の郵貯・簡保のおかげで地方のネットワークを維持してきた。経済効率一辺倒では到底郵政事業は維持できません。結局、民営化すれば、郵便局ネットワーク維持に何兆円も投入しなければならないでしょう。
小泉首相の考えるところは、結局郵便局をなくしてしまい、郵貯・簡保で国民から集めた資産350兆円を民間金融機関として運営しようということです。民営化する郵貯・簡保の新会社は集金能力と運用能力を持つはずがありません。行き着くところ、外資による浸食ということになってしまう。都銀を見ても、外資に浸食されずに残っているのは僅か1、2行だけという状態です。
小泉首相は350兆円を外資に引き渡すことによって民営化が完成すると考えている。それによって地域崩壊が起きようが、地域社会がなくなろうが、小泉首相の関心事ではないのでしょう。
中村 政府は郵政民営化が必要な理由の一つとして、「郵便局が集めた貯金・担保のお金が、財政投融資として特殊法人など必要のないところに流れてきた。その入口を絶つのが民営化だ」と言っていますが、これはおかしい論理展開ですね。無駄遣いが悪いからなくすというなら理論として分かりますが。
亀井 現在、政府は多額の国債を発行しており、小泉首相も今の国債発行が無駄遣いとは言っていない。この国債の最大の引き受け手が、郵便局、現在の郵政公社です。国債を発行せずにすむものなら良いが、そうもいかないのが現在の我が国の財政です。
小泉首相は国債発行額は30兆円が限度だと自ら言い出しながら、アッサリそれを破り、今年度予算では30兆円に納まらず34兆円に増えているのが現実です。私はむしろ無駄遣いとされる出口の議論をすべきだと主張しています。
民営化して、財政が奇跡的に好転し、国債を発行しなくてもやっていければ別だが、それは無理だ。郵貯に依存しないで、国債の引き受け手をどこに頼ろうとするのか。都銀に求めるのは無理だとすれば、外資に頼るつもりなのか。そんな乱暴なことはない。
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