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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2003.6.1◎月刊現代
特集:小泉政権打倒「秋の陣」は党派を超えて
亀井静香×民主党若手代議士「共闘宣言」

中津川博郷/小泉俊明/松原 仁/司会 有馬晴海(政治評論家)


竹中、川口批判から「カメの餌」発言への反論まで意気投合の末に、出馬宣言も飛び出した


?この不況は「政治の犯罪」?


---亀井さんは3月9日、名古屋市内の講演で「ポスト小泉は、民主党の一部も含め政治の枠組みを越えた挙国一致内閣を組むべきだ」と発言し、自民、民主両党の幹部を慌てさせました。この発言の背景には、小泉政権への痛烈な批評があると思いますが。


亀井 私は小泉さんにこれまで3回も直談判をしてるんだけど、もう、あの人に政策転換を求めてもムダだと思っています。党内には「彼が政策転換をすれば支持する」なんて声もあるけど、去年まではそれで通用したかもしれませんが、もうダメです。犬が木に登らないのはわかってるのに木に登ればどうにかしますと言うようなもので、ハナから期待のしようがない。政府が政策転換をする可能性はゼロですね。
 まあ、しかし私はこれまで政権批判は何度も繰り返してきたから、もう陳腐でしょう(笑)。今日は民主党の気鋭の人たちが、日本の今後をどう考えているか、拝聴させてください。


松原 いまの日本は経済だけでなく、文化や伝統の面でも本当に変わらなければいけないときだと思います。政治の世界でも拉致問題や外国人地方参政権の問題など、超党派でなければ対応できない問題が増えている。もちろん政党政治は続くし、党は重要ですが、その枠を越える必要があるほど危機的状況にあることを、自民党でも民主党でも、あるいは他党でも多くの人が実感していると思います。


小泉 同感です。私は何より今の日本経済に強い危機感も持っています。特に地方の経営者の方と話をしているとひしひしと感じます。倒産が年間2万社。自殺者も5年連続3万人を越えましたが、実数は年間10万人以上いると言われています。9・11以上の、まさしく経済テロのような状況なのですから、まず党派を超えて交流し、危機感を共有する人が志をひとつにすることが大事だと考えています。


中津川 小泉政権になってから株式の時価総額が170兆円も下がっている。自己破産者は年間22万人ですよ。イラク戦争や北朝鮮問題の陰で経済有事というべきものが、見えにくくなっている分だけ、さらに深刻だと思う。
 亀井先生はこの不況を人災だと批判していますが、私は「政治の犯罪」だと思います。まず竹中(平蔵金融財政担当)大臣です。あの人は日米を行ったり来たりしている世渡りのうまい商売人にすぎません。しょせん、やっていることは机上の理論で、実体経済がまるでわかっていない。こんな大臣を任命した首相の責任は重大です。
 そこで亀井先生にお尋ねしたいのですが、小泉首相はこの危機的な状況をどこまでわかっているんですか。


亀井 あの人は全然話にならない。あなた方も、もちろん私も大変な危機だと思っているけれど、彼は違う。弱い木を切り倒して、強い気で元気な森をつくっていこうというのが、小泉改革なんです。いま伐っても、景気がいずれよくなれば生き返ると思っている。だから景気対策などやっちゃいかんというのが、彼の信念なんですよ。だから残念だけれど、我々とは話がかみ合うわけがない。


?グローバリズムと闘おう?


小泉 小泉内閣のウラの目的は財務省主導による財政均衡至上主義なんです。私も委員会で財務大臣や金融担当大臣とやりあってきたのですが、彼らの話を聞いていると景気回復など目的にしていないのがよくわかる。財政均衡のことだけを考えて、死んでしまう人は死んでしまえ、という感じなんです。


亀井 予算単年度主義の弊害ですよ。財務省というというのは入るをもって出るを制すでしょ。とにかくできるだけ借金をしないで予算編成したいというのが、財務省の伝統的な考え方です。何も長期的な判断でやっているわけじゃない。ところが経済というのは生きているから年単位で区切るわけにはいかないんだ。


小泉 そうなんです。予算を使い切らないと次年度の予算がつかない......。こんな考えでは改革なんてできるわけがありません。ところが、この肝心なところは財務省の聖域なので、小泉内閣では手をつけるつもりがない。


松原 竹中さんはイギリスのようなウィンブルドン方式。つまり、場所は提供するので全世界から国際金融資本が日本にきて経済を活性化してほしい、という手法を持ち込もうとしています。しかし、こういうグローバリズムは日本になじまないと思う。イギリスと日本では歴史的環境が違いすぎますからね。そのことを竹中大臣に質したら「いや、私もウィンブルドン方式は日本ではできないと思う」というのです。言ってることとやってることが違うと感じましたね。


中津川 彼は日本の大臣じゃない。アメリカの大臣ですよ。


亀井 俺は相手にしないんだよ。彼と話をしていてもペコペコするだけで、全然議論にならない(笑)。


松原 日本企業には一つひとつに歴史があり、地域との関係があります。いってみれば牧場の牛にも一頭、一頭の幸せがあるということですよ。そして大切に育てれば、いいミルクも搾れるし、子牛も生む。ところがアメリカのハゲタカファンドは、この牛を殺してステーキにしたら、いくらで売れるかしか考えていない。


亀井 まさにそのとおり。馬鹿げたグローバリズムと一緒に闘いましょう。


中津川 その一つとして私は金融行政を、ぜひ、亀井先生にやっていただきたい。日本の銀行は10数年前までは世界で1番から10番まで占めていたのに、いまはどこも入っていない。銀行の自己資本比率を決めるBIS規制にしても、国際的にマネーセンターバンクとしてやっていくなら8%はしょうがない。しかし、国内だけを相手にする信金、信組地方銀行は4%などと決めずに自由にやればいいんです。グローバリズムの弊害です。


松原 国民不在のグローバリズムは許せません。私は与党の中で、きちっと国益なきグローバリズムについて反対する勉強会を始めていただけるなら、超党派で入会して一緒に勉強したいですよ。


亀井 さっきから話を聞いていたら、俺が何で自民党におるのか、わからなくなってきたよ(笑)。自民党の新人類とかいう若い衆たちはこんなことは言わない。あいつら、六本木で外資の連中とばかりメシ食って、マネをしているんだからね。


財務省の言いなりになるな?


---それにしても、日経平均が再びバブル後最安値を更新するなど、日本経済は危機的な状況にあり、緊急の対策が求められています。しかし、小泉内閣は相変わらず、腰が重いですね。


亀井 小泉政権はブレーキを踏んではいかんときにブレーキを踏んでいるんですよ。ここは思い切ってアクセルを踏むしかない。我が国には1400兆円のも金融資産があるし、外貨準備高だって4800億ドル(日本円に換算して約58兆円)以上もある。これをどう活かすかですよ。金融国家として生きていくには、到底、えげつない外資にはかなわない。かといって、経済産業省が考えているような通商国家にもなれるわけがない。昔のカルタゴじゃあるまいし、米中間の中継貿易などで食っていける道理がないんですよ。日本はいまこそ、日本のためにも世界のためにも、思い切って内需拡大をすべきだし、民が動けないいま、官がそれを主導するしかない。

---以前からの持論ですね。


亀井 2年前、私が総裁選に出馬したときは「亀井に任せておくと借金ばかりが増えて日本は後10年で沈没してしまう」という批判が噴出したけど、そんなバカなことはない。積極財政で一時的に借金を増やしたって、国債も日本国内で消化して、海外から借りるわけじゃないんだから問題ない。財政法を変えて日銀が直接国債を引き受ける手だってある。さらに30年、また30年と子や孫たちにどんどん借り換えていけばいいんですよ。その間にゆっくり借金を返していけばいい。


小泉 結局は小泉首相が財政均衡至上主義の財務省の言いなりになっていることが問題なんです。日本の国力の源泉はとにかく経済力なんですよ。食料にしろ、エネルギーにしろ、大部分を輸入に頼っており、経済の力が弱まればこの国は生きていけなくなる。すべての政策目的は国力をいかに高めるか、経済力をどうやって強めるかに集中すべきなんですよ。その目的意識を持った人が、国のトップにたたないとダメです。


亀井 最後は政治の決断なんですよ。宮沢内閣当時、私は政調会長代理として「新社会資本整備」と名付けて、情報通信、教育などに予算を配分したんですよ。しかし大蔵官僚たちは猛反発でした。「新社会資本」なんて名前を使うなと言う(笑)。今度は民間の資本もうまく使って、エレクトロニクス、バイオなど先端技術の開発や、ゴミ処理場、介護施設などの分野で50兆円規模の事業を、思い切って実施する。やはり、日本の生きる道は最先端の技術革新しかないし、こういうときこそ、日本が世界経済を引っ張っていくくらいの政策をやるべきなんですよ。


?なぜ米・中・朝で決めるのか?


松原 私が主張したいのは、まず地価の下落をなんとかくい止めるべきだということです。そのためには、かつてバブルのときよりいまのデフレの方がはるかに深刻なのだから、国土法の改正という手がある。バブルのときには地価の上限を決めたのだから、今度は下限を決めればいい。たとえば路線価の8掛け以下で売るんだったら、国か買い取るぞと宣言すれば、駆け込みで1兆円ぐらいは売られるかもしれないが、それで地価の下落が止まります。


小泉 私は下限を決めろとまでは言いません。しかし株や土地を流動化させる優遇税制など大手術をしないと資産デフレは止まりませんよ。


亀井 やはり税制は変えなくてはいけないね。もう流通課税をやめないといかん。土地は固定資産税だって払うんだから。株式だって同じですよ。


中津川 地価急騰のときは国土法を持ち出して、土地取引の届け出制にしただけではない。さらに総量規制や地価税まで使って、地価を引き下げた。いまは、その逆にあらゆる手段を使って地価下落をくい止めるべきです。


亀井 本来、そういうことをやるために政府はある、だから、政治家は周囲のしがらみにとらわれないで、日本をいい方向に変えていくという点で、政策面でも協力し合わなくちゃいけない。党のために日本があるわけじゃないんだから。その大きなチャンスになるのが次の首班指名ですよ。これは与野党を越えて、新しいポスト小泉政権を作っていくための歴史的な回転のときになるんじゃないか。


松原 従来のような政局運営ではなく、もっと長期的な戦略を考える政局というものが必要になってきますね。


亀井 外交だってそうです。どうして北朝鮮問題について、日本や韓国を外して、米・中・北朝鮮の3国だけで協議するようなことになってしまうのか。今日も、安倍晋三(官房副長官)と顔を合わせたからこう言った。「おまえはバカじゃないか、なんででブッシュに日本をはずして3国だけで協議を始めるのはどういう料簡だって、文句を言わないんだ」と。日本には拉致問題もあるし、第一、北朝鮮の脅威はアメリカより、日本の方がはるかに大きいんだからね。


松原 亀井先生には川口外務大臣も何とかしてほしいですね(笑)。川口さんは外交の舞台で「拉致の問題を取り上げるかどうかは、他国のみなさんの出方を見ながらやりたい」と平気で言っている。これじゃ日本は拉致問題についてその程度の熱意しかないのかと他国には思われてしまう。


亀井 小泉さんがアメリカのイラク侵攻を支持するか支持しないかと聞かれて「その場の雰囲気で決める」と言ったのと同じだよ(笑)。本当は日本はアメリカと同盟国であるからこそ、日本のため、アメリカのため、そして世界のためにイラク問題について言うべきことを言っておかなきゃいけなかった。それを、ケンカの強いガキ大将についていれば、北朝鮮という不良少年にやられないですむ、といわんばかりの態度だった。そんなことで、アメリカは日本を守ってはくれませんよ。


---では国益といいながら、結局、何も考えていない。


松原 例の厚生労働省の計画などもひどいですね。失業保険などで建設した2000件の施設を民間に払い下げる計画がある。中には建設費の99.97%引きにもなる超大安売りで、合計すれば4500億円もの赤字になる。以前、どこかの銀行の副支店長が何10億円もの損失金を出し、背任の罪で懲役2年の判決を受けましたが、この計算でいくと厚生労働省の人間は懲役500年の罰則を受けても仕方がないことになる。でも、現実にはみんなのうのうとしているわけです。そんな役人たちが左うちわでRCC(整理回収機構)などに天下って、税金滞納で金利が払えなくなった人たちをしごいている。盗っ人猛々しい。


亀井 まさに図星だね。


小泉 税金をとっているほうが楽して、税金を払うほうが苦しんでいるという、おかしな国の構造自体をどうにかしなくてはいけませんね。


?「悪い子供はブン殴れ」?


---いまの日本の停滞状況を語る上で、教育の問題も指摘されます。これについてはいかがですか。


中津川 教育の力というのは、国のあり方に大きな比重を占めます。ゆとり教育だ、総合学習だとやった結果が、学力の低下と道徳心の後退でしょう。これじゃ日本はよくならない。私たち3人は、日本再生には教育が柱になるという点で認識は一致しています。


亀井 そのとおりですな。一番、間違ってるのは、ダメな親の下にさらにダメな子供がいる(笑)。いまさら出来の悪い大人を再教育するのは無理だから、ダメな親から子供を引き離すようにすべきですね。全寮制にするとか、18歳過ぎた子に親が仕送りしたら重加算税を課すとか(笑)。このくらいダイナミックなことをやらないと。


中津川 ダメな先生も離さないといけませんね。公務員といえども、出来の悪い先生には他の適当な仕事に変わってもらうようなことをしないと。ダメな教師に習うことほど、子供にとっても、日本にとっても不幸なことはありませんから。


亀井 俺は中曽根弘文が文部大臣やっているときに「政調会長の俺が責任を持つから、悪い子供はブン殴っていいという大臣告示を出せ」といったことがあるんだ(全員で拍手)。お前の初歩的な教育改革なんかどうでもいい。俺が責任を持ってやる、と言ったんだけど、アイツはやらなかった。それくらい思い切ったことをやらないと、教育改革はぬるま湯的なものになっちゃうんだよ。


小泉 そもそも、生徒を先生一人に押しつけるのにも無理がある。教育改革は国民運動レベルでやっていかないといけませんね。


亀井 だいたい親が教育現場がとうなっているかよくわかっていないんだよ。ウチの娘が通っていた中学は偏向教育で有名な学校なんだ。そこで、生徒と父兄の対話の場を設けようとPTA会長に進言して実現したんだけど、出席してみたら、亀井静香がくるというんで、いろいろ父兄が押しかけて、オレが先生と話していると猛烈に政治的な野次をとばす。こっちはケンカする気はないから、しょうがねえやと帰ることにしたんだけど、ついでに校舎の中を見て回ったんだ。娘が「パパ、うちの学校はハトの巣よ」って言っていたのが引っ掛かってたんだね。そしたら、理由がわかった。壁に貼ってある子供たちの図画がハトの絵ばっかし。鳩を描かせるのが平和教育だと思っている(笑)。


?新政権は中選挙区に戻す?


松原 大きな時代の曲がり角に差しかかっていることは確かです。自民党の中にもそう考えている人は多いでしょう。ただ、問題は自民党がどこまで旧来の姿から変わるかで、なかなか難しいのではないか。果たして、自民党が自分で変化への引き金を引くかどうかを、国民はじっと見ていると思います。


亀井 党内でいろんな人間と会って、いろいろ話をしているんだけど、やはり小泉政権のあとは、ただ単に自民党の新しい総裁が総理になるというのではダメだという人は多い。だから次の政権ができるときは、そうしたエネルギーをどういう形で結集するか、石原新党ができるかどうかも含めて、様々な状況の中でガラガラポンという決断をせにゃならんでしょう。


小泉 危機意識を共有した人たちがひとつにまとまるというのが、一番いいんですよ。その意味では自民党にも亀井先生のような方もいるし、まったくずれている方もいる。民主党も同様です。いまは基本的な認識を同じにする人たちが、党が同じかどうかは別にして、心をひとつにしてともに闘わなくてはいけない時代が来ていると思いますね。

---ただ、いまの小選挙区制度では、団結しよう、まとまろうとしてもできないような仕組みになっているのも事実ではありませんか。


亀井 党公認をとれないと、なかなか出てこれない。だから、地方まで全部、中選挙区制にしろとはいわないが、とりあえず都市部を中心に3名区とか5名区に戻したらいい。そうしないと、自民党候補者でいっぱいのところは、考え方が自民党的な人でも党からは出られない。民主党が独占している選挙区でも同じことが起きる。
 これが中選挙区になってくると、同質の中から、より良き者が選ばれてくるという切磋琢磨が生まれるんだね。そういう政治家を生み出していく仕組みを本気になって考えないと、永田町はこれまで以上に世間から遊離した政治家集団になってしまいかねない。


小泉 候補者の世襲も大きな問題ですね。いまの選挙システムでは、世襲以外はどんなに優れた人材でも、まず公認はとれない。これをなんとかしなくちゃいけない。もちろん、先生のおっしゃったような小選挙区制の部分的な変更をやっていかないと、本当の政治勢力の結集は難しいと思います。


松原 世襲問題についていえば、自民党は二世、三世議員と官僚出身者が非常に多いんですね。私は政策の一貫性や安定感という点で、二世議員も官僚出身もかまわないというのが持論なんです。ただし、その数が過半数を超えてはいけない。そうであってこそ、政党はダイナミズムを持つし、民意を反映できると思う。ところが、現実の自民党の二世議員や官僚出身議員の数は全体の60%、70%でしょう。これでは、彼らは既得権益を守らざるをえず、結果的にダイナミズムも生まれない。


亀井 おっしゃるとおり、そういう点をキチッと変えていくことが大切になっている。私が新政権をつくれば、秋の臨時国会でも、通常国会でもいいから、中選挙区に戻します。そのくらいのことをしなきゃダメなんだよ。

---ところで亀井さんの名古屋での挙国一致内閣発言について、翌日、民主党の岡田克也幹事長は「(党からこぼれて)カメの餌になるような人はいない」と批判しています。


亀井 岡田さんがどういおうが、別に俺は私利私欲を求めて政治をやっているわけじゃないからね。これまでだって、二度も大臣を断ってるしね。


中津川 「大臣を断る」。一度でいいからいってみたい(笑)。


亀井 ポストのために生きてるつもりはないんです。この時代は個人の政治的野望や権勢欲で政治がやれる時代ではないんです。岡田さんがそういったのは、ご本人がそうだから、他人もそう見えるだけの話でしょう(笑)。


小泉 ただ、ぼくの感じでは若い人たちのほうに危機感は強い。その点、政治キャリアを持った年配の方たちには、亀井先生のような覚悟があまり見られないような気がするんです。


亀井 いや、そうでもないでしょう。みんな相当に危機意識を共有し始めていると思うよ。先の農水大臣の後釜選びにしたって、4人も断ってるでしょう。昔の自民党だったら、たとえ1日でも大臣をやりたいという奴ばかりだったんだから(笑)。党の中にも変化する兆しは出てきてますよ。


小泉 そこがまだ、ぼくにはちょっと見えないんですけどね。


中津川 いまもっとも苦しんでいるのは中小企業の経営者や、バブルのときに銀行から相続対策と称して借金をさせられた人たち、この人たちはこれまで日本を支えてきた人であり、多くは自民党の支持者です。ところがその人たちがいま小泉失政の下で苦しみあえいでいる。彼らにこそ、政治の知恵と力が必要なんです。その危機感を共有できるのであれば、本当に......。


亀井 結局、政治家のやる気というのは自分の背中で見せていくしかない。いっしょにやろうよ。


?「私が圧勝します」?

---これまでのお話をうかがっていると、9月の総裁選前に打倒小泉に動くことは決まっているようですね。ではその戦略をどうするのか。たとえば石原新党について、亀井さんはその協力者でもあるといわれていますが。


亀井 わたしも彼の腹の中を全部わかってるわけじゃありませんが、東京から日本を変えるといってきたけれど都知事のままでは日本を変えられないことは、彼もよくわかっています。今日も電話で話したんだけど、今後については、いろんなオプションを考えてると思うよ。ただ言えることは、いろんな立場の人がバラバラのままでいたらうまくいかない。そのエネルギーがひとつの政治力学になるような作業をいまからやっていく。それが9月になるか、その前になるかは別だけれどもね。

---統一地方選後、小泉政権の支持率が少し回復したという報道もありますが。


亀井 だからマスコミは常に後追いなんですよ。自社さ政権にしたって、いってみれば私が最初に仕掛けたようなものだし、また当時の河野洋平総裁をおろして橋本龍太郎にしたのも、私が動き、それにみんなが集まったんです。小沢一郎との自自連立だってそうだよ。だれもそんなこと予想しなかったでしょ。マスコミは連続性で書くけど、政治は常に不連続なんですよ。

---遅くとも9月には政変があると......。


亀井 いや、9月以降は小泉総理はありません。小泉さんが出るか否かは知らないが、もし出馬した場合、だれも対抗馬が出なければ私は必ず出ますよ。その時点で私が圧勝しますよ。


松原 いまの時代は幕末の動乱期そっくりだと思うんですね。そして、あの時代、もっとも輝いていたのは自ら脱藩して、犬猿の仲だった薩長を結び付けた坂本龍馬ですよ。だから、来るべきときは、われわれみんな坂本龍馬になる。そんな覚悟を持って、ともに闘うべきじゃないでしょうか。


亀井 そのとおり。やりましょう。私はキチッと政策を実行できる人がいれば、その駕籠をかつぐのに、まったくやぶさかではないが、そうでなければ自分で刀を抜く。亀井静香の刀の切れ味は鋭いよ(笑)。

※無断転載を禁ず


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