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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2003.8.1◎月刊官界
緊急インタビュー
小泉内閣は9月までの命、日本経済は必ず再生する

小泉内閣誕生から2年が過ぎたが、国内の閉塞感は強まる一方。日本は再生するのか。反小泉の急先鋒で次期首相候補でもある衆院議員亀井静香が熱く語った。


解散の時期は?

---りそな銀行が実質国有化されました。


亀井 りそなへの対応をみると小泉政権の経済政策は実におかしいと思う。官から民へと言って郵政の民営化を主張していながら、民間銀行を国有化している。
 りそなは繰延税金資産に関するルールがいきなり変更となり、国有化されてしまった。いきなりストライクゾーンを狭くされて、はいフォアボールというのでは銀行もたまらないだろう。
 銀行は資金を貸して商売をしたいが、今は不況なので、資金需要がない。資金を借りたい企業があっても、そこへ貸すと金融庁が怒るから銀行は貸すことができない。
 政府の仕事は銀行が仕事ができるような環境を整えること。つまり、景気をよくすることだ。国民の税金を銀行に注入しても、銀行が通常の貸出業務をできないならば、再び財務体質が悪化する。りそなへ注入した2兆円はどぶに捨てたのと同じことになってしまう。

---亀井さんならば、どんな経済政策をとりますか?


亀井 私が言っていることは2年前から変わっていない。とにかく内需を思い切って拡大することだ。円安頼みの経済成長などすぐに腰折れしてしまう。日本には1400兆円もの金融資産があるのに、これを使わないから経済が活性化しない。ここまで景気が冷え込むと民間は動けない。そこで政府が呼び水となるような財政出動をしなければならない。バブル崩壊後に何回も財政出動はあったが、額が少なすぎたし、タイミングも遅すぎた。too little, too late とはこのことだ。今後は思い切ってやるべきだ。

---財政赤字が膨大なのに内需拡大は可能ですか。


亀井 700兆円の借金があるというが、海外から借りているのではない。国内において政府と金融機関の間の貸し借りのバランスが少々崩れたに過ぎない。日本には1400兆円の金融資産と4800億ドルの外貨準備があるのに、緊縮財政で経済活動のブレーキを踏むなんて狂気のさただ。
 無駄な公共工事がいけないのは当たり前。私は政調会長のときに2001年度予算で223件の公共事業を中止した。金額にして2兆8000億円。この中には鳥取県の中海干拓事業も含まれている。
 役人は立場上いったん始めた公共工事を止めることが難しいので、政治家が決断すればいいのだ。

---どんな分野に投資するのですか?


亀井 社会資本整備、生活環境整備、技術革新を思い切って進める必要がある。
 たとえば空港は今のままでいいのか。韓国の仁川空港は4000メートル級の滑走路が2本もある。日本ももっと空港を整備する必要がある。
 また日本の住宅は相変わらずお粗末。ウサギ小屋どころかネズミ小屋ではないか。家だけでなく、街並みもひどい。東京の場合、青山あたりまではいいが、世田谷、杉並でさえ海外の街並みに比べたらスラムのようだ。
 地下に共同溝を設置し、電線だけでなく、ガス管、光ファイバーを通せばいい。エレクトロニクス関連で100兆円規模の経済効果があるだろう。町はきれいになるし、道路も広く使える。震災が起きたときにも安全だ。こんな有益な公共工事を無駄だと言うのか。

---時価会計が日本経済を蝕んでいるという見方がありますが。


亀井 時価会計だけでなく、何でも米国のやり方を導入しようとするのが大きな間違いだ。米国の市場メカニズムと日本の市場メカニズムは違う。お互いのいいところを学びながら、グローバルスタンダードを作り出そうというのならわかるが、一方的に米国から押し付けられるのはおかしい。
 マスコミにも責任があるのではないか。米国系アナリストが書いたレポートをそのまま紹介しているようなことをしていると世論を間違った方向に導く。

---小泉政権の外交は評価できませんか?


亀井 まったく評価できない。不良少年(北朝鮮)に対抗するために、強いガキ大将(米国)にくっついていく、という外交は独立国家の外交とはいえない。
 北朝鮮の脅威を受けているのは米国ではなく、日本だ。ノドンも拉致も被害を受けるのは日本であって米国ではない。それなのになぜ、米国に交渉を一任してしまうのか。日本と韓国を入れない交渉はだめだとなぜ言えないのか。
 小泉首相はエビアン・サミットの議長総括に拉致問題が明記されたと喜んでいるようだ。しかし、英国のブレア首相から「拉致問題を解決するにはどうしたらいいか」と質問されたら、まともに答えられなかったらしい。小泉外交には中身がない。
 ノドンが日本に向けられているのだから、打ち落とす態勢を作らなければならない。先日、米国のアーミテージ国務副長官と話をしたが、米国のパトリオットミサイルの改良型を配備すれば安くて済む。

---小泉政権に問題があるとしても、内閣の支持率は50%を越えています。


亀井 小泉首相はイメージ作りが上手だ。内閣がスタートしたときに田中眞紀子がもてはやされたが、眞紀子との相乗効果で小泉首相の人気も出た。
 しかし小泉政権は秋で終わりにする。自民党員は中小企業の社長が多い。私の選挙区広島でも多数の中小企業が悲惨な状況にある。彼らが小泉首相に投票するわけがない。小泉首相もこのままでは負けるとわかっているから、総裁選後の内閣改造など人気取りを言い出した。

---亀井さんは総裁選挙に出馬しますか。


亀井 反主流派が統一候補を立てる。私が出るのか、堀内(光雄)さんか、河野(洋平)さんかはわからないが、いずれにしても小泉政権はおしまいだ。


日本の停滞は米国占領政策の成果


---約20年前、日本は米国を抜いて世界1位の経済大国になりました。それがなぜここまで落ち込んでしまったのでしょうか。


亀井 米国の占領政策が実を結んだということだ。幕末において、日本が欧米の植民地にならなかったのは、侍魂があったから。しかし戦後、米国が日本のシステムを作り替えて日本人の精神を骨抜きにしてしまった。
 昔の経営者はリスクを覚悟で投資して新技術や新製品を開発した。しかし今は米国のマネをして儲からないものはすぐに切ってしまう。こんなことでは世界ナンバーワンになれるわけがない。 20年前に各界のトップにいたのは戦前の教育を受けた人たちだった。しかしその後の20年間で政界、財界だけでなくあらゆる分野で世代交代が進み、戦後の教育を受けた人たちが社会の主要な地位を占めることになった。その結果が今の状況だ。

---今後は教育が重要になりますね。


亀井 今さら親を教育し直すのは不可能。ダメな親から子どもを引き離して、全寮制の学校で鍛える必要がある。

※無断転載を禁ず


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