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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2003.9.9◎週間SPA!
Kohtari's News Column これは事件だ
夜討ち朝寝のリポーター 神足祐司のニュースコラム
「小泉は素人!」。
コータリが渦中の亀井静香氏に迫る!!

亀井静香氏は、ひと言ごとに私を驚かせてくれる。
 昨年事務所を訪れた時は、部屋で靴を脱ぎ、油彩で裸婦を描いていた。50号くらいの大作だ。いかつい顔には似合わないと、失礼ながら思ったものだ。
 ペイオフ延期の時は、張本人として「亀井けしからん」というメディアの大合唱に遭った。
 「なんで嫌われることばかりするんですか?」率直に訊ねたら、「あれよ」とアゴで壁を指した。
 壁にはチェ・ゲバラの写真があった60’年代の革命家だ。
 保守系政治家が共産ゲリラを尊敬。訪れたアメリカのベーカー大使もその写真を見て驚いたという。
 だが剛腕だ。「日の丸・君が代反対の連中と私は手を組んだ。自社さも自自公もやった」と言う。
 その亀井静香前政調会長が、再び自民党総裁選へ出馬を表明した。
 「2003年以降は、小泉政権はあり得ない」「日本がこんなことになっているのですから、もう誰が出ても勝つと思います」(『ニッポン劇的大改造』亀井静香/小社刊)
 この強気の秘密と、なぜ小泉政権ではダメなのかを訊いた。


---前回(01’)年の総裁選は、小泉さんの圧勝でした。


 「それは(田中)眞紀子さんフィーバーですよ。それと初物だった。純ちゃんは今まで政策なんて一所懸命考えたことがない、政治家としては素人と一緒だから。その素人っぽいところが眞紀子さんと一緒になってフィーバー起こしちゃった」


---でも小泉さんの支持率はまだ高い。


 「それはさあ、こんなこと言っちゃおかしいけど、昼間、ご主人が汗水流して資金繰りをどうしようかって頑張ってるときに、家でひっくり返ってよろめきドラマを見てる奥さんのところに支持率調査が来る。その人たちはテレビを見飽きたら新聞のチラシを見て、バーゲンやるとそこへ買い物へ行こうってさ。オレの女房もそうだけど、100円安いというと500円ぐらいタクシー代使って買いに行く。お年寄りだって年金がまちがいなく下がってるよね。年収が一定なら、(デフレだと)使い手がいいでしょ。だから純ちゃん素敵となるわけ。そこへ支持率調査が入れば高くなるのは当たり前(笑)」  小泉再選なしの根拠を聞くと、内情がさらによくわかる。
 「だって、地方の人は入れますか。地方は切り捨てでしょ。中小企業の経営者は2年間でこんなに苛められるとは思ってない。また、党員は中小企業、零細企業、商店の経営者です。こういう人が入れますか? だからね、300票のうち40?50票だな、よく取って。東京ぐらいだな。あとは取れない」
 2年前の総裁予備選で、地方に散らばる自民党各県連の開票結果は劇的だった。亀井氏の地元広島をのぞく全県が小泉を選んだ。47都道府県に3票ずつの計141票だったが、今回地方票はその倍の300票に増えた。
 さらに、各都道府県連ごとの持ち票が01’年は「総取り方式」だったが、今回は「ドント方式」という比例配分になり、この変更も小泉氏に不利と言われる。
 「永田町はどうかというとね、目いっぱい取って100票あるかないかでしょ。だから勝てない」


---でも、参院の青木さん(参院幹事長)が支持すると。


 「青木さんひとりでしょ、あとは誰も付いていかないでしょう。職域大臣の人は全部アンチ小泉ですよ、どの団体だって。地方から出てくる参院の人は、地方は切り捨てられてるから(地元に)帰ったら、なんで青木さんがあんなこと言ってるか、ばっかり言ってますよ。無記名投票ですから。表じゃ青木さんが怖いから任した、と言ってるけど、誰も入れませんよ。青木さんが一票入れるかどうか……まあ入れるでしょうが」


この20年、我々政治家も残念ながら流されていた
 では、小泉政権のどこが「亡国」なのか?
 「日本は日本なりに知恵を出しながらやってきたわけですよ。その日本人が作ってきたかけがえのないノウハウを捨てて、すべて違うアメリカのノウハウを真似するのがいいんだという風潮が20年来出てきて」


---20年? 中曽根根構造改革からまちがってたと言われますか。


 「だから、改革は良いことやってますよ。国鉄改革。しかし全体がアメリカの逆襲に流されちゃった。だから、今の状況というのは、小泉さんが作ったというよりも、結果として小泉政治が生まれちゃったんですよ。アメリカナイズされることがグローバリゼーションだという、まちがった流れの結果として生まれた。アメリカに合わせることが近代化だとかね。バカげたあれを軽薄なエコノミストが20年ぐらいやり、我々政治家も残念ながら流されちゃった」
 小泉政権が手本にしたサッチャーリズムは、ウィンブルドン現象を招いた。開催国だがプレーヤーはみな外国人だ。竹中財政・金融担当相が手本に、と語った韓国のV字回復も、同じ目に遭っている。
 世界でもグローバリズムへの批判は日増しに大きくなっている。
 小泉首相はことあるごとに「改革」を口にするが、亀井氏は自分こそ「改革派」と言う。
 それは言葉だけではない。政調会長時代、223の公共事業を切り、平成13年度予算を2兆800億円削った。「明治以来こんなにやった政治家はいない」と言う。
 道路公団民営化もおかしい。日本みたいな狭い国を効率よく整備しなくてどうする、と言う。


---でも改革は必要ですよね。


 「そりゃ当然。ファミリー企業なんか、天下りで社長になって丸々太ってるし、儲かるように発注する。建設大臣になって、私はそれを競争にした。ただちに変えたんですよ。誰も褒めてくれないけど」 建設官僚が持ってきた東西分離案を「天下り先が増えるだけ」と放り投げ、隣同士のサービスエリアの管轄主をまだらにした。 「こいうのが改革でしょう」
 そうかもしれない。亀井氏は温かみのある改革者で、小泉首相は非情な空想家なのかも。
 だが、それならなおのこと。亀井氏の言葉通り、亡国を招いたのは小泉政権でなく、この20年を誤った自民党政治の責任になる。
 小泉さん改革はできない。なぜなら自民党員だからという野党の言い方が説得力を帯びてくる。

※無断転載を禁ず


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