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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2004.9.21◎経済界
森田実の永田町風速計
亀井静香・志師会会長の憂国の訴えー「真の保守政治を回復せよ」

民を憂する者は彊(つよ)く、
民を愛せざる者は弱し(荀子)

 標記の苟子の言葉の意味は以下の通り・「為政者が民を愛する国は強く、民を愛さない国は弱い。国家の強弱は、民の心をつかむか、つかまないかにかかっている」(諸橋轍次「中国古典名言事典」より引用)。
 亀井静香志師会会長は、一貫して自己の信念を貫き、平和を求め、中小零細企業者、失業者や恵まれざる人々への深い愛情に基づいて、憂国の発言を続けている。多くの政治家が、時流に流され、自己の信念を曲げて、名刺を求める中にあって、亀井氏の生き方は高く評価されるべきだと私は思う。8月下旬、亀井氏に「憂国の心情」を聞いた。


3番目の危機


ー 時代認識をお聞きしたい。

亀井 日本の危機は、今、土壇場まで来ている。このままでは米国と中国の狭間でつぶされて滅んでしまう。日本は今、それほどの危機にあると思う。
 日本は19世紀以降3番目の危機に直面している。1度目は幕末。日本は植民地化される瀬戸際で維新の回天を断行し、危機を切り抜けた。この時、国民は危機に気付いていたわけではなかったが、「お伊勢さん詣で」を始めた。全く偶然だがこの流れが日本を救った。当時のインテリ層の武士と一部商人はこの危機をしっかりと受け止めていた。
 2番目が大正期から昭和の時代だ。日本の指導者層は日露戦争の勝利に酔い増長し、ナチスドイツやイタリアファシズムの真似をして軍事大国化の流れに身を投じてしまった。国民世論もマスコミもこの流れに抗することなく、亡国への道に落ち込んだ。
 3度目の危機が現在だ。残念なことだが、唯一の軍事超大国・米国は「強者の論理」を振りかざして突っ走っている。この中で日本は1951年の講和条約で国際法上は独立しているが、占領下と同じように依然として米国のタクトの下で従属的に思考し行動する状況から抜け出ていない。今の日本は米国の強者の理論に従う道を選択している。
 外交のみならず経済においても、日本は米国の強者の理論、市場原理主義に従っている。金融改革も米国の強者の理論で行われている。いったん弱者になった者には、再び強者になる上で必要な資金配給は受けられない。弱者は生きることができないのだ。金融“改革”の中で、日本の金融・証券は米国の資本の支配下に組み込まれてしまっている。
 一般の企業でも“改革”の名の下に「強者の理論」が貫かれ、優れた日本的経営が解体されている。社会と従業員が一体になった過去に成功した経営方式が崩れてきている。リストラの名目で正社員は減らされ、フリーターや失業者が激増している。一般の国民の所得は落ちている。地方は荒廃している。
 この結果、最近まで最も安全な国だった日本は米国型の犯罪社会に落ち込んでいる。もはや警察官の増員だけでは追い付けない状況になっている。
 強者の論理が横行する中で、今日まで自民党を支えてきた支持者の自民党からの乖離が急速に進んでいる。自民党支持者の中から「保守とは大きな権力に身をゆだねることなのか」「その権力が国を滅ぼすようなことばかりしていても、ただ強い権力にもたれ掛かるのが保守なのか」との批判が出てきている。
 自民党の退嬰化が進んでいる。われわれ自民党は目を覚まさなければならぬ。
 われわれは「真の保守」、すなわち日本の優れた文化・伝統を守りながら、新しいものを取り入れるという本物の保守政治を回復する必要がある。

考えるべき国の在り方

 

ー 日本国民に訴えたいことを。

亀井 国民の皆さんにぜひとも日本という国の在り方、日本はどう生きるべきかを真剣に考えていただきたい。
 日本が国家として21世紀を生き抜くために、世界の国々との関係をどう処理していくかは大変大事なことである。第2次世界大戦時のように正面から衝突するようなことは愚かなことだ、平和的関係が必要である。しかし、だからといって盲従は良くない。それは国民にとっては不幸だ。対立でも盲従でもない中庸が良い。
 米国が世界で唯一の超軍事大国だからといって、何をしてもいいということではない。戦争はしてはならないのだ。戦争はしてはならないのだ。かけがえのない人類の住処としての地球を大切にする責任がわれわれ日本国民にはある。これがわが国自身のためでもある。
 わが国はすべて米国の言いなりになるのではなく、友人として必要なアドバイスをしなければならない。たとえ耳の痛いアドバイスをしたとしても、米国政府が日本へ報復し、軍事行動を取るようなことはあり得ない。日本は米国にとっても安全保障上も、また経済的にもきわめて大切な友好国なのだ。日本は米国に400兆円もの金を貸している第2位の経済大国である。われわれは自信を持って平和と繁栄の道を進むべきだ。

※無断転載を禁ず


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