活動実績

新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2005.7.24◎日本農業新聞
ズバリ核心【484】
連載 永田町 小林吉弥(政治評論家)
亀井静香元政調会長を直撃

自民の存在理由守る
「新党」立ち上げは否定的


 「郵政国会」がいよいよ大詰め段階に入ってきた。民営化法案反対派が突っ走っての「参院否決」、小泉首相が「自爆」覚悟の衆院解散に打って出、政界大動乱となるのかどうか。あるいは、「落としどころ」が模索される展開となるのか。反対派の総大将亀井静香元政調会長を直撃した。亀井氏にとっても、この抗争は政治生活最大の正念場と言っていいのである。
 まず、民営化法案はもとより「小泉政治」の限界をどう見ているのか。
 「限界を見ている。郵貯、簡保の345兆円を米国に隔り渡す。それが狙いの民営化だ。郵便局も少なくなり、お年寄りはタクシーで年金を受け取りに行かなくてはならなくなる。なぜ健康体に、外科手術でメスを入れなければならないのか、だろう。“小泉構造改革”の実体は、すべからくが弱肉強食の市場原理至上主義。この国の風土にはなじまない。制圧には負けるにはいかないということだ」
 外交面は。対中、対韓なども含めて、全て袋小路に入っているように見える。
 「隣近所の付き合いが出来ない亭主でどうするのかということだ。しっかりした国家観、それに基づいた洞察力も見られない。“場当たり主義”が目につく」
 さて、民営化法案。「参院否決」となるのかどうか。
 「このままいけば、間違いなく否決だ。参院の反対派の結束は固い。その結果、衆院の解散とは常軌を逸している。江戸の仇(かたき)を長崎では、あまりに議会制民主主義を無視していることになる。参院はいらないという話になる」
 小泉首相が「解散」に出てくるなら、対抗策で「総裁リコール」もあり得るのか。党則4条4項によれば、党所属国会議員、都道府県連代表の2分の1の賛成でリコールとなる。
 「あり得る。民営化法案のみならず、背景には広く“小泉政治”への絶望感があるからだ。リコール成立で、新総裁の下で選挙をやればいい」
 仮に小泉首相のもとで総選挙となった場合、自民党は「分裂選挙」が避けられない。一部に、「新党」論も出ている。また、亀井氏と石原慎太郎都知事との連携「新党」説もある。亀井氏と石原氏の連携には、とりわけ外交面で違和感を覚える部分があるが。
 「まだ、党内に具体的な話としては存在しない。石原氏と私の件も、確かに接触はある。しかし、“新党”ということではない。酒を一緒に飲んだりで、この国の在り方などを話し合うといったところにとどまっている」
 しかし、亀井氏はかつて社会党の政策を変えさせ、「自社さ」連立の村山政権を担いだ経緯がある。石原氏に、とりわけ外交面での政策転換を促すということもあり得るのでは。
 「あの人も、筋論の人だ。そう簡単に譲らない。私から、“あなた出ないか”と言える相手でもない」
 一方、党内はここに来て「解散回避」への動きが出て来た。法案のさらなる修正を持って「参院可決」、一方でこれをもって小泉首相の「花道」とする取引のようにも聞こえるが。仮に修正が呑(の)めるとしたら、その条件は。
 「“三事業一体”が前提となる。ナアナアで自民党のレゾンデートル(存在理由)をなくすわけにはいかない。守らねばならない」
 しかし、大幅修正にはもはや時間が足りない。次国会への「継続審議」説も出ている。
 「綿貫(民輔・前衆院議長)さん、反対派の同志諸君とも相談しなければならないことだ」
 民営化法案の行方がどうなろうとも、小泉政権の終焉(しゅうえん)はそう遠い日ではないとの見方も強い。ズバリ、「ポスト小泉」に手を挙げるのか。
 「戦国時代ではない。天下を取ればいいとも思っていない。ほかの人を担いでもいいし、私にやれというのであればこの身をささげる。大事なことは、誰がやってもこの国を間違った方向に進ませてはならないということだろう」
 いまの政治の混乱の1つには、「ポスト小泉」が不在、姿を現そうとしなかったことにも原因がある。その意味では、亀井氏ようやく意欲をにじませたかと窺(うかが)えなくもない。「天の時、地の利、人の和」が味方するかどうか、となる。

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