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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2005.10.1◎月刊BOSS10月号
新党結成は不発か?
亀井氏正念場の「大乱」選挙

政治評論家 小林吉弥

 8月30日の公示を前にして、衆院の郵政法案造反組51人の「一致団結」が大揺れ、崩れだした。
 当初、今度の総選挙は単独過半数を獲得する政党はなく、選挙後は連立政権を目指しての激しい再編図式が予測されていた。綿貫民輔元衆院議長や亀井静香元政調会長ら反対票を入れた37人を軸に、棄権・欠席した14人も含めた「新党」で戦うことが模索されていたが、この構想が脆くも崩れたことにより、対立図式はこれまで通りの自民、民主両党の過半数争いに変わってしまった。
 背景は、自民党執行部の「公認」をチラつかせての揺さぶりで、当選第一を考える議員心理に動揺が走ったということになる。と同時に、郵政法案の賛否はともかく、あれだけ政治手法を含めた「小泉政治」を批判していたにもかかわらず、対抗軸を明確にして「新党」も立ち上げられないという造反組のテイタラクは、その姿勢を支持してきた国民の糾弾をまぬがれないのではないか。
 亀井氏ら反対派は無所属での出馬となる公算が大だが、筆者の予測では37人中、半数が落選の危機にある。
 筆者からみると、現職国会議員以外の、知名度があり、新鮮味を感じさせる党首を担いだ場合、「新党」なら間違いなく「風」を呼んだはず。そうなれば選挙後の連立政権づくりの展開の中でキャスティングボードを握れた可能性が高かっただけに、この挫折は惜しまれる。あまりに「戦略なき抗争」を露呈したと言わざるを得ない。

自民と民主は五分と五分


 ただし、選挙は終わって当選してきてしまえば、まずは一段落。自民党の中からまたぞろの「反小泉」の空気が出てくる可能性もあり、郵政法案反対派から無所属当選を果たした者たちと新たな「新党」立ち上げ問題がクローズアップされてこないともかぎらない。仮に、自民党が政権を維持した場合、ただちに郵政法案の再上提となることから、党内に改めて手法を含めた「小泉政治」批判が台頭してくる可能性ありということである。また、首班指名段階で自民党がすんなり小泉純一郎首相を推す形になるのか、「想定外」のハプニングも予想できないことでもない。まだまだ、ひと山、ふた山は避けられない自民党と言える。
 いずれにしても、今度の選挙、その後の「大乱」は避けられない。小泉首相自身も年内の靖国参拝が回避できない状態であり、このことも対中・対韓のさらなる外交面での行き詰まりを増幅する。仮に政権を維持してもこのことがただちに波乱要因になる。選挙そのものも、郵政法案反対派も含めて、大物議員がバタバタと落ちる可能性も秘めている。賛成派の中からも、町村信孝外相、小池百合子環境相、武部勤幹事長、与謝野馨政調会長、山崎拓元副総裁などは厳しい戦いを余儀なくされる。亀井氏もまた、厳しい選挙となりそうである。
 また小泉首相も民主党の岡田克也代表もともに「政権が取れなかったらその座を退く」と明言しているだけに、どちらが苦汁を呑む結果となるのか興味深い。筆者のこれまでの選挙予測は、自民、民主両党は五分と五分である。
 亀井氏について言えば、いまひとつ今後の戦略が見えて来ない。「秘策」はあるのか。正念場にあると言える。

造反した衆院議員37名

綿貫民輔(旧橋本派) 保利耕輔(旧橋本派)
野呂田芳成(旧橋本派) 村井 仁(旧橋本派)
藤井孝男(旧橋本派) 松下忠洋(旧橋本派)
今村雅弘(旧橋本派) 滝  実(旧橋本派)
八代英太(旧橋本派) 小泉龍司(旧橋本派)
小西 理(旧橋本派) 津島恭一(旧橋本派)
保坂 武(旧橋本派) 森岡正宏(旧橋本派)
古川禎久(旧橋本派) 森山 裕(旧橋本派)
亀井静香(亀井派) 青山 丘(亀井派)
平沼赳夫(亀井派) 古屋圭司(亀井派)
衛藤晟一(亀井派) 小林興起(亀井派)
能勢和子(亀井派) 松宮 勲(亀井派)
江藤 拓(亀井派) 川上義博(亀井派)
武田良太(亀井派) 山下貴史(亀井派)
堀内光雄(堀内派) 左藤 章(堀内派)
田中英夫(堀内派) 城内 実(森派)
自見庄三郎(山崎派) 亀井久興(河野グループ)
山口俊一(無派閥) 熊代昭彦(無派閥)
野田聖子(無派閥)  

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