活動実績

新聞・雑誌等での亀井静香の発言

戻る

2006.5.1◎財界人
亀井静香代議士に聞く

ポスト小泉が近づいてくるなか、昨年からの姉歯設計に始まる耐震偽装、官製談合、ライブドア等々、いろいろな問題点が一気に噴き出してきている。混迷の政局の只中にあって、亀井静香代議士はこれからどういう方向に日本をリードしていこうと、またリードしたらいいと考えているのか、昨年の総選挙の件についても話を聞いた。

衆議院選挙について


 昨年の総選挙では、国民新党を立ち上げ、刺客として送り込まれたホリエモンに勝利しました。いま振り返るとどのような選挙でしたか。

郵政解散

 誰が考えたって無茶な話です。小泉さんは信長を例にたとえたりしますが当時は法律が何もない時代です。今のように憲法があり法律秩序があるなかで、参議院で否決したからといって衆議院を解散するという、外交・防衛・教育・経済政策、いろいろなことがあるなかで、郵便局をなくするというアメリカからの要求ただ一点を実現するために、それに反対の議員のバッヂをもいでしまう解散でした。
 そして再び出てこようとする者については同じ自民党の仲間でありながら刺客を送ってこれをすりつぶす。こんなことは現代社会において、あっていいはずがない。
 小泉劇場というおもしろければいいという、そういう演出の中で、朝起きてみたらバッヂをつけてい議員が80何名もこの国会に現れたのです。
 自民党の部会でも私の友人等から聞きますと、ベテランが政府案その他に対して「これはおかしい」と言い出すと、「抵抗勢力は自民党から出ていけ」と一部の連中が大合唱をするというのです。だから、ろくな議論もできないという状況になっているわけです。選挙制度がもたらしたものだと言いましても、それだけで片づく問題ではありません。
 我々日本人の魂がどこに行ってしまったのか、まともな判断ができなくなってしまっています。明日はどうなるかわからないけれども、そのときの強者が猛威を振るえばそれに簡単に同調し屈してしまうという、そういう日本人がこの東京、都会部を中心に全国に現れました。

広島6区

 私の選挙区でも、政策なんて何も訴えず「改革だ。郵政民営化が改革の第一歩だ」、そこまではホリエモンは言うけど改革の第二は何なのか、一言も言っていない。それで84000もの票がいってしまう。
 刺客としては竹中という噂もありましたが、ホリエモンであっても小泉改革の旗手として送り込もうというのなら、これは私が政策を選挙民の方に訴えるには本当に好都合な舞台が用意されるということです。
 ただ、国民新党を結成しての最初の戦いです。今まで自民党としての選挙を9回やってきているわけですが、「国民新党としての戦いをやり、私は最初の原点に戻ろう。国民新党としての最初の選挙だ」ということで、一箇所に大勢の人にやってきてもらう、そういうことはもうやらない、私自身ができるだけ草深い奥まで街宣車で出かけていく、一人でも多くの人にお会いをするということをやりたいというわけで、広島県の県境まで歩き回ったわけです。
 地元は燃えに燃えてくれました。「ホリエモンじゃなくて小泉来い」という大合唱を私の後援会が始めたわけです。それで勝利は最初から確信していました。

新党結成

 実は新党をつくることについて、最初は諦めていました。最初は「新党つくろう」という声が数多くあったのですが、だんだんと消えていきまして、無所属でやろうというのがほとんどになりました。私も選挙区の県会議員がみな自民党ですから、「無所属でやってくれ」ということを盛んに言うわけです。仕方がないと思っていましたが、朝5時ごろ、枕もとの携帯電話が鳴ったので出ましたら、亀井久興さんからの電話でした。
 「地元に帰ってみたら、もう小選挙区では無所属では立候補すらできません。新党の旗を立ち上げない限りは立候補すらできない。一人でも私はやります。」
 私にやれというのではない、一人でもやりますという連絡を朝五時にしてまいりました。私はそれで目が覚めました。「わかった、俺も一緒にやってやる。綿貫さんを俺も口説くからあんたも口説け」と電話を切って、それで綿貫さんを口説き、新党結成に至ったわけです。
 しかし、これも直前までできるかできないか危ない局面もありました、憲政記念館で新党結成の発表をすることについてニューオータニで最後の打ち合わせをしていましたら、綿貫さんが「やっぱりやめよう。地元の県会議員全員猛烈に反対している。またいま女房が飛行機で自分を説得に来ている。こういう状況ではやはり地元あっての俺だからここは無所属で戦おう」とおっしゃった。
 非常に硬い決意を述べられたので、私も本当に一瞬、凍りついたような気持ちになりました。そこで私も覚悟を決めました。
 「わかりました。それでは、もしそういうご決断をなさるなら、私自身が命を断ちます」と私は申し上げました。
 本当に私はそのときそういう決断をしたわけです。亀井久興さんに対しての約束、またすでに新党結成を公にしていたわけでもあり、おめおめとこの世に生きているわけにはいかない、そういう判断をしたわけですが、綿貫さんが「わかった、そこまで言うなら、やはりやろう」ということで、元に戻ったという危ない場面もありました。

天命

 「天は自らを助くるものを助く」という言葉があります。亀井久興さんからの電話で新党を決断したわけではありますが、何もこれは彼のためにやったというわけではありません。結局は大勢の方にご苦労をかけて今日までやってきた政治家・亀井静香が、これによって天命を受けたわけです。しかし無所属の国会議員として何ができるか。天命が下ったと言ったって、無所属の亀井静香に何ができるか。何もできはしません。無所属の保守系の「自民党に帰りたい、帰りたい、自民党恋しい」と言っている立場の国会議員がなんら新しい力学をつくりあげることはできないわけです。

参議院選挙について


 参議院選挙も近づいてきています。あるいは場合によっては、政界の再編成というようなことが起こりうるかもわかりません。次の選挙をどのように考えていますか。

神の手

 今、ライブドア、官製談合、ご懐妊など神の手とでも言うべき様々な事態が噴出しています。来年の参議院選挙、誰が総理総裁に今年の九月選ばれるかわかりませんが、誰が選ばれたにしても、選挙後、自公は過半数を割ります。
 今、民主党が永田議員のメールの問題等で揺れていますけれども、そんなことで自民党が勝っていく流れは生まれません。前回は小泉・安倍のゴールデンコンビと言われていた参議院選挙でしたが、結局は49議席しか取れませんでした。今度、誰が総理総裁・幹事長であろうと、それを大幅に超えて改選が行われます。今度は66議席です。これは小泉さんが総理総裁になった最初のときの選挙で圧勝して66議席を取ったわけですけれども、今度は49議席取れるか取れないか、そういう事態に間違いなくなってくると思います。そうしますと、選挙後は完璧に過半数を割るわけです。
 今、私ども国民新党は、参議院で4議席を持っていますが、さらにそれに、比例区、東京・大阪・千葉・中国については立候補させます。東京と千葉は増員区ですから、ほぼ我々が完璧に手中に入れることができると思います。東京で自民党が2人、民主党が2人なんか当選できません。いま自・民主・公・共産が1議席ずつ持っているところに今度は1議席増員になるわけですが、これは我々が確実に取っていきます。千葉も1名増になります。これも自民党・民主党が一ずつ取っているわけですが、公明党がさらにひとつ取るだけの力はありません。私どもがきっちり取る。全国比例、最低、国民新党だけで2議席、新党日本で2議席は取れると思います。
 新党日本と一緒にやるかどうかはこれから協議していくことではありますけれども、間違いなく10議席程度は取っていけると考えています。これで悠々のキャスティングボードを我々が握る。
 あまり自民党が大敗をして、我々に協力を求めても過半数を取れない事態になりますと、さらに一挙に大きな大乱に向かっていくことになります。ちょぼちょぼの勝ち方を自民党がしてくれますと、我々にとってのもっての神の手が動いた中で、日本の政治をきちんとしていく、日本の社会をちゃんとしていく、そうした小泉政治と決別した政治をその後展開していきます。
 要は政策です。この間違った政治をどんどん進めてきたことに対して、きちっと反省をして、そうしてちゃんとした政治を今後展開していくというのであれば、我々は前に一緒にいたわけではありますし、自民党の政治に協力をしていくというのはやぶさかではありません。
 とにかく今の「これが日本か」という状況をきちっと変えていく。その契機にしなければ意味がないわけです。そういうつもりで我々は今、目の前に迫った来年の7月に向けての戦いを始めようとしています。

これからの日本は


 これからどのように日本を立て直していくのか、あるいは厳しい世界の競争の中で最後まで勝者として生き残れるのか。経済の展望などについてはどうお考えでしょうか。

景気

 経済の面などを見ても本当に日本が、将来も国際社会の中できっちりとやっていける、そういう経済になりつつあるのかどうか。わたしはノーだと思います。
 株価が15000円程度をうろうろしているだけで経済がよくなったと、東証の一部上場企業の三割程度が戦後最高の利益を上げ続けているからといって、これで経済が回復基調に乗ったというような、そんな判断が目に余るほど出ている。果たして本当にそうか。私はそういうことはないと、残念ながら判断せざるを得ません。

ライブドア

 そうした状況の中で、ライブドアの事案が発生しました。私はマスコミからのいろいろな取材でも講演でも言っていますが、ホリエモンを断罪したからと言ってそれで済む話ではありません。
 ホリエモンも徒手空挙で経済界の中でニュービジネスを立ち上げていくということでチャレンジをしたわけです。その男がいま明らかになっているような、風説の流布はじめ、粉飾決算等のそういうやってはならない手段を使って、ぐんぐんとのし上がってきたその状況。これはけしからんことは事実ですが、誰の引きもない、金融界のバックアップもない人間がのし上がっていくときにやる手段としては、今の時代の風潮の中ではいわば当たり前。そういう意味では彼は時代の子であり、時代の犠牲者だと私は思います。
 決して彼をかばうわけではありませんが、彼自身を断罪する前に、彼のような経営手法を駆使していく人物を生んだ今の日本の社会に対して我々自身が反省をすることがなければ意味がないだろうと思います。
 また、監督官庁にいた竹中大臣、証券監視委員会等を使い金融庁を使えば、当然彼がどのようなことをやっていたのかはわかるわけです。そういう権限があった。しかしそれについては違法ではないとか、むしろかばう立場に立って、そうした彼の暴走をキャッチし止めようとする努力をしなかったこと、これは完璧に事実です。
 結局、選挙では竹中大臣が二度、武部幹事長も現地入りし徹底応援をして、小泉改革の旗手として持ち上げている。いわばライブドアの広告塔の役割を自ら進んで小泉もやり、また竹中も武部もやる中で、大勢の投資家が「政府が保証している。政権与党の幹事長が保証しているなら安全だ」ということで、どんどん株を買いまくって時価総額7000億円までいった。それがいまや一株30円と紙くず同然になってしまった。これは戦後最大の詐欺事件です。
 詐欺的手法によって株価を吊り上げ投資を誘い、投資家を安心させてそして本人が利益を上げまくってきたということについて、政治家がそれは別の問題だと言う。
 今度は永田議員のメール問題がありますが、間違ったもの、根拠のないものを出してはいかんと思いますが、しかし、そんなことで一件落着というわけにはいかない。武部幹事長とその周辺とホリエモンの間で本当に綺麗な関係なのかどうかは明確にすべきだと思います。あのメールが間違いだったから一切その関係はどうでもいいということにはならない。7000億円の被害者がいるということを忘れてはなりません。

日本企業のあり方

 ここまで日本の社会は強靱な力を失ってきたのです。復元力がありそうで止まってしまうという状況が今の社会で起きていることが、私は日本の社会において一番怖いことだと思います。
 官民談合といいますけども、談合と言ったらおかしいのであって、本当の話し合いまでダメだと言い出したら強者が生き残るだけです。私は今度の防衛庁の談合がいいとかばっているわけではありませんが、一部のボスが仕切ってしまって、一部の大企業だけが税金をどんどん自分のポケットにたれこませていく、そんあことはあっていいはずがありません。そういう談合はなくさなければいけないと思います。
 日本の社会は大・中・小、それぞれの企業がそれぞれの地域で一所懸命働いて生きているわけです。それぞれが所を得てきっちりとやっていけるように、国や地方の需要をどう配分していくかという問題について、もっと工夫すればやれることがあるはずです。それをしないで一部のボスが談合で仕切って自分たちだけがいい目を見て、下請け、孫請けには利益を削っておろしていって自分たちはペーパーカンパニーみたいな関係になっている。そういうゼネコンが存在することも事実です。
 もちろん大きな工事であれば管理能力の問題がありますから、ただ施工したというだけではどうしようもない面もあります。後のメンテナンスも含めて責任もありますから、大きな工事についてはそれだけ大きい企業が責任を持つという体制はやはり必要であろうと思います。しかし、といって地方の弱小のところが対抗できないような形で、常にバラで叩きあいをしていくのがいいということにはなりません。要は官から民へと言いながら、モラルハザードが官の側にも民の側にも起きてしまったらこれは大変なことになるということです。
 かつての日本の社会は、みんなで幸せになろうということを考え、やはり下請け、孫請け・ひ孫請け、地域社会、それがちゃんとなっていくにはどうしたらいいかということを、ゼネコンを含め大企業は考えながら仕事をやってきました。
 今のように、わずか1億、2億の工事までゼネコンがどんどん田舎まで入ってきて取っていく。そこに作業員がいるわけではありませんから、結局は下に振るわけです。そんな荒稼ぎをして恥じない風潮が、なにも建設業界だけではありません。日本全体に広がっています。

中産階級の消滅

 日本では99.8%が中小零細企業です。これがしゃんとしていたから他の国と違って消費と貯蓄がうまくいって、そして日本経済は安定高度成長を遂げたのです。その謎は何かと言えば、中産階級が健全だったからです。中小零細企業、あるいは農村漁村を中心に。かつては1400兆円、世界の6割の貯金を日本が持っているという、貯蓄成功世界一でした。それがいまや先進国で一番下くらいになってしまっている。
 「いやいや設備投資は外資でやるからいいや」そう言う人もいますが、そう簡単にはいきません。外資が本当に日本に投資しているかというと違います。いま外国側から金が来ているのは投資ではなくて投機です。そんなものを当てにして日本が将来の設備投資をやっていくのか、それが安定的なファンドとして使っていけるのか、そんあことがあるはずはありません。
 日本人はやはり勤勉に働いて金を貯めて、それを使いながら日本は延びていくのです。何の資材もない日本が勤勉によって生まれた、また英知によって生んだそういうものを我々がファンドとして将来へ向けて活用してきたことが日本経済が伸びてきた原因ではありませんか。
 消費にしてもそうです。いま消費が落ち込んできていますけれども、なかなか上昇気流に乗らない。当たり前です。これも中産階級がいま消えていっているからです。日本というのはやはり中産階級が安定的に消費を下支えしてきたからこそ日本経済というものは伸びてきたのです。それがいまや、東証一部大企業の30〜40%は大もうけしているけれども、中小零細企業は儲けるのに四苦八苦しています。
 かつては、下請けや孫請けや従業員、これを幸せにしていく中で、安定的に株主に対して責任を長期的に果たしていくというのが理想的な経営者だったのです。今はそうではありません。直接金融で株式市場から資金調達できるように株価をどう上げていくかということです。また自分がサラリーマン社長としての座を守るために株主から評価を得なければならない。そのためには利益をどう上げていくか。下請け・孫請けがどんな苦しみであろうと、「お前たちは関係ない。今度は中国やベトナムに工場を出す。お前たちはつくらなくて結構だ」と言う。
 そんなことがどうどうとまかり通るようになったのはここ4、5年ではありませんか。これまでもそういう経営者がいなかったわけではありませんが、それはこそこそとやっていた話です。今のように経済構造改革としてリストラが奨励されるということはありませんでした。
 利益を会社本体が上げるためには、何をやるか。下請け、孫請けも従業員も人間扱いではなく部品として扱う、安く物をつくっていく部品として扱うのがうまい経営者がいい経営者だと、そんな日本に残念ながらなってしまいました。
 こんな日本が将来本当に大丈夫か。私は絶対に大丈夫ではないと思います。なぜ我々日本民族がアメリカに伍して世界と戦えたか。この日本に何があるのか。簡単です。マンパワー以外にない。
 我々がお互いに人間として大事にしあうその中で個人の能力をどんどん伸ばしていく。教育においても明治以来それをどんどんやってきました。そういうことの中で我々の経済生活も世界の中で豊かなほうになってきたこの日本が、今のような極端な二極分化をしている。それが当たり前だというような社会に今なってきていることをこのまま続けていったらどういうことになるのか。
 みんなが協力し合ってこの会社の業績を上げていこう、そんな気持ちが残念ながらほぼなくなってきました。そんなことでその会社が長期的にうまくいくわけがありません。パソコン時代になって隣同士も話をしなくなればなるほど、別な形での心の連帯といいますか、そういうものを組織として考えていくことをしなければ、結局はその会社はダメになる。日本経済はダメになっていくだろうと思います。

家庭

 また仕事の面だけではありません。家庭の中もばらばらになりつつあります。亭主は亭主、私は私、そんな家庭がずっと蔓延している。みんなが一人ぼっちになってきている。しかし、人生照る日もあれば曇る日もあります。商売だってなんだってうまくいくとはかぎらない。そういう曇る日に、女房が家庭の中で「お父さんがんばりなさい」と口に出して言わないにしても、子供が「がんばって」と言ってくれる雰囲気のある家庭の中で仕事をしているのかということです。家庭に帰れば一人ぼっち、そんな家庭の中でどうやって未来に向かって仕事をしていくのか。やはり自分だけでなく、「自分には家族がついている、友人がいる」、そういうことのなかでめげずにがんばろうというエネルギーが湧いてくるのではないでしょうか。それが経済を支えているのではないでしょうか。

福祉問題

 また、今の日本は団塊の世代が定年を迎え、お年寄りの社会になっていっています。長寿社会になったから人口が急減しないというだけで確実に減ってきています。こういった事態をどうやって日本全体が乗り越えていくのかを考えなければなりません。
 社会福祉と言えば、もちろん誰も反対しません。「お年寄りを大事に、医療から年金から介護からこれをもうちょっと強化していこう」だけど今住んでいるほうはどうするか。また今後は「親子はもう関係ない。介護の社会化だ。親は家庭ではなくて社会が見るものだ」そういう思想で厚生労働省は会合をはじめてしまっています。
 政調会長の当時、厚生労働省の役人に「間違いなくこれはこの程度の手直しではパンクするよ」と言いました。今、完璧にパンクでしょう。掛け金を増やし、税金をつぎこまないと維持できません。それはそうです。そんなもの掛け金で掛けさせますと権利意識が生まれてしまう。掛けている以上、もらわなければ損だということになる。
 そうすると認定を受けてヘルパーに来てもらおうということになる。いかになんでも昨日までゲートボールやゴルフをしていたのに、ヘルパーに来てもらったらゲートボールもするわけにいかない。健康なお年よりもダメになってしまう。そんなことがいま全国に広がっています。
 このままでは、一億総不自由なお年寄りになりかねない。これなんかまさに福祉政策の間違いなのです。

日本人のDNA

 いま問題は日本人に生まれてよかった、日本人になってよかったと思えるそういう社会をつくることです。お金のある人は自分でお医者さんを抱えようが看護婦を抱えようがすればいいんです。そうではなくて、一所懸命働いても身寄りがない、自分の働きだけでは病院にもかかれない、そういう人たちを最低のセーフティーガードとして、国が地方がどう面倒を見るか、その仕分けもしないままに進めているのが問題なのです。
 年金だってそうです。たいへんな所得のある人にまで年金がもらえる。こんなことをやっていて国の財政がもつはずがありません。私がかつて繁栄のシナリオとして総裁選に出たときに書きましたけれども、「そのときそのときの所得は捕捉できるけれど資産は捕捉できない。収入がなくても資産がある人はいる。」そういうことを考えた場合、例えば70歳になったら申請した人には全部一律に年間何百万か差し上げる。その代わり、お亡くなりになるとき税務署が全部調べてそのときに資産の中からあの世に行くときに清算してもらうということです。
 それくらいのことをしないと資産のある者もない者も国によってたかって金をむしりとっていくみたいなことになる。年金だって掛けているのだからもらうのが当たり前だということになる。ここが問題なのです。今の日本の社会では共助の精神が失われているということです。
 「まぁええわ、俺は年金もらわんでもやっていけるような状況になったから、過去掛けた年金は年金もらわないと食っていけない人に共助の精神で自分が助けよう」という割り切り方をしなくなった。
 日本という社会は本来そうではなかったと思います。いま我々が必要なことは我々のDNA、優れていたから世界一になったのです。世界の奇跡とも言われるようなことを何度も起こした我々のDNAに自信を持ったらいい。アメリカの猿真似をすることで我々に幸せは来ません。

政治家・亀井静香の決意


 最後に、政治家・亀井静香のこれからの決意、意気込みについてお聞かせください。

 今、神の手が下ったこのときに国民の覚醒運動を私自身が訴えて率いていく立場にあることを本当に望外の喜びとファイトに燃えています。
 今の日本、やはり心ある人は、経済的繁栄はもちろん大事ではありますけれども、我々日本人の魂が腐りはて腐臭を発し始めたということを意識しはじめてきていることもまた事実です。神の手が動いた今、我々が黙っているわけにはまいりません。
 私は政治家としてある面では最終場面にきているわけで、あと何十年もやるわけではありませんけれども、この10年で今の日本を再生していく、そういうことがやれる立場に立っていることを日々生きがいとして感じています。

※無断転載を禁ず


戻る

TOPに戻る

バックナンバー