新聞・雑誌等での亀井静香の発言
聞き手 高橋広史
第1回 亀井静香 氏
“大関白鵬の綱獲り、把瑠都の台頭などで人気を取り戻しつつある一方で「日本人横綱」待望論も依然として根強い。外国人力士全盛の現状を打開できるのか。東京中日スポーツでは東京新聞(中日新聞)との合同企画第4弾として、各界の相撲愛好家4人に意見、提言を聞いた。
抵抗しなきゃ
--元横綱三重ノ海の武蔵川親方と懇意にしていると聞く
「朝げいこを見に行ったが、本場所よりすごいね。でも親方に言ったんだ。部屋が以前に比べ低迷しているのは、竹刀を振り回さないからだと。厳しく鍛えるなら、グシャグシャに折れるくらいでないとね」
--でも武蔵川部屋の厳しさは角界でも有数。ほかの親方からは厳しくすると今の弟子はすぐ逃げるという嘆きも聞く
「根性のない力士を抱え、メシを食わせてもしょうがない。弟子が逃げていなくなったら廃業すればいい。そのくらい割り切らないと」
--日本人力士低迷の要因は
「簡単だ。美しい心と肉体を失ったから。今の日本人は人間じゃない。小泉総理を筆頭に、強者が弱い者をいじめ、快感に浸っている。それでいいという世の中になっている。弱い立場の者も従順で抵抗しない。抵抗してでも頑張るんだという気概がない。そんな社会の風潮が相撲にも影響している」
--昨年まで朝青龍の強さばかりが目立った
「彼はいい相撲取りだ。日本の若者が持っていない、礼儀正しさや節度がある。一緒に歩いていても、第三者に非常に細かな気遣いをしてくれる。彼の結婚式でこうスピーチしたんだ。相撲界でも、マスコミでも評判は良くないようだが気にするな、だらしない今の日本の男の子を土俵上でぶちのめしてくれって。闘志をむき出しにするからいろいろ言われるが、おとなしく品よくやるのが横綱の条件ではない」
心を失った日本人は人間じゃない
外国人制限×
--現在、相撲協会は外国人力士を1部屋1人に制限している
「それは自信がないからだ。制限なんて必要ない。制限したらもっと弱くなる。何人入ってこようが、その中で日本の若者がのし上がっていかなければ国技とはいえない」
--幕内の外国出身力士の割合は現在で3割。制限をなくせば半数を超すかもしれない
「それで日本人が目覚めればいい。相撲を見ながら、日本人はだらしなくなったと、わが身を振り返ればいい。保護したらいいってもんじゃない。開かれたなかで伝統を守っていくのが本当の国技。人為的な措置で日本人横綱が誕生しても本当の国技ではない」
--最近の相撲を見て感動したことは
「ないな。今は、ケガが怖いのか、簡単に土俵を割ってしまう。場所数が多すぎる。収入を考えると簡単には減らせないだろうが、年6場所は力士に負担になっているのではないか」
--小泉首相によって反改革派のイメージが強い亀井さんが相撲界に求める改革とは
「抵抗勢力だとかマスコミが勝手に言ったことだ。相撲界でも頑張った者がきちんと報いられる仕組みをつくってあげる必要があると思う。親方株の数は制限され、取得には大金がいる。もっと広く持たせる方法を探ってもいい。志半ばに挫折した場合、相撲協会がそれなりにサポートしていくことも大切。そうすれば高校や大学に行かずに相撲界にいってみようという気になるかもしれない」
--表彰式や断髪式でも国技館の土俵は女人禁制だが
「大相撲に女子部をつくれなんて言わない。ただ土俵に上がって表彰したりすること自体、いいと思う。日本の文化や伝統をぶち壊すとまでは言えないよ」
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