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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2007.6月号◎月刊テーミス
国民新党の存在感が高まってきた
亀井静香 安倍首相へ提示する「政策連合」

郵政民営化を見直し介護や教育で大転換を図らなければ日本は沈没する


綿貫代表が“神様”になるとき


 「これからは間違いなく国民新党が中心の政治が展開される。『年金増額。大資本(企業)増税。郵政見直し→地方重視。抵抗勢力に気合いの一票を!』がうちの標語だ。強者が栄え、弱者が滅ぶ社会を生み出した小泉政治の間違いを正す。国民新党がやろうとしているのは小が大を呑むオセロだよ」
 国民新党の亀井静香代表代行が語る。
 7月の参院選が近づくにつれて、国民新党の存在感が増している。安倍首相としては、自公与党の過半数確保に全力をあげる構えだが、最近の選挙はとにかく「風向き次第」の様相が濃い。そこで、国民新党がキャスティングボートを握る可能性が囁かれている。
 全国紙政治部記者が解説する。
 「安倍政権の支持率の低下はストップし、反転傾向にある。発足当初の70パーセントには及ばないが、40パーセント台を維持しており、過去の政権から見ると高支持率といっていい。ただ、7月の参院選は自公与党で過半数を維持するためには64議席必要だ。公明党の現状維持(13議席)を前提とすれば自民党は51議席を獲得しなくてはならない。前回の自民党獲得議席数は49で、わずか2議席だが、前々回の64議席(小泉・眞紀子ブームで大勝)を除けば、自民党は40議席台半ばぐらいしか獲得していない。50議席台乗せは想像以上にしんどい」
 ポイントとなるのは自民党VS.民主党で29ある改選定数1の「1人区」をどれくらい押さえられるかにかかっているが、政界事情通は「どちらが勝つにしても差はわずか。その場合、国民新党がカギを握る可能性が高い」という。
 5月初旬、東京・築地の日本料理店に´69年当選組の5人衆が集まった。森喜朗、羽田孜両元首相、民主党代表の小沢一郎氏、元衆院副議長の渡部恒三氏、国民新党代表の綿貫民輔氏だ。
 その席で渡部氏はこういった。
 「綿貫さんは神主(の資格がある)だが、参院選後は“神様”になる。小沢君(民主党)も、森君(自民党)も、綿貫神様にひれ伏さなければならなくなるかもしれないぞ」
 国民新党の現有勢力は衆院議員4人、参院議員4人の8人。このうち今回の参院選では改選2。郵政造反組の後藤博子氏(大分)と引退する田村秀昭氏(比例)。後藤氏は自民党県連が参院選候補を公募方式で決めるとしたことに反発して離党、国民新党入りした。今回の参院選では比例に回る。田村氏は自衛隊高級幹部出身の唯一の議員だが、民主党の安保政策に反発。亀井氏との関係が深かったこともあって、国民新党に加わった経緯がある。
 この改選数2を維持できるかどうかが、国民新党にとっての正念場だが、亀井氏は「選挙区は最低4議席、比例代表は最低5議席を目指す」といっている。比例代表の場合、100万票強で議席を獲得できる。300万票近く取れれば、2議席は確実だ。
 選挙分析に強い政界事情通はいう。
 「前回、衆院選の比例ブロックでは綿貫代表(富山)がいる北陸・信越、亀井氏(広島)らがいる中国でそれぞれ30万票以上獲得しており、これが全国規模で拡大すれば200万票は超える。国民新党は意外に善戦するのではないか」
 そのうえ、比例代表候補には、実績のある元議員らがずらりと並んでいる。青山丘(愛知、衆院9回当選)、自見庄三郎(福岡、衆院7回)、熊代昭彦(岡山、衆院4回)、宮本一三(兵庫、衆院3回)、津島恭一(青森、衆院2回)各氏らだ。テレビコメンテーターとして名を売った元読売新聞政治記者の中村慶一郎氏も出馬する。桐蔭横浜大大学院教授でチベット出身のペマ・ギャルポ氏も出馬。ギャルポ氏は、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世とともにインドへ亡命したことでも知られる。


郵政民営化見直し法案を出す



 さらに、国民新党執行部は北海道と沖縄で集票作戦に出ている。
 北海道では元社会党参院議員の伊東秀子氏が公認候補となり、札幌に党の北海道支部を開設した。
 沖縄では自民党を離党した下地幹郎氏(沖縄1区)が結成した地域政党「そうぞう」と連携、衆院会派を「国民新党・そうぞう・無所属の会」(6人)とした。「そうぞう」代表代行の沖縄県議、呉屋宏氏を比例公認候補とする。「そうぞう」は沖縄で90人の地方議員を擁し、鈴木宗男氏の「新党大地」よりも強力な地域政党とされている。
 4月の統一地方選は国民新党として初めて臨む大型選挙だったが、秋田県議会、東京・練馬区、中野区、日野市で公認候補を当選させ、じわじわと党勢を拡大していることを印象づけた。
 さらに東京都知事選に出馬した建築家、黒川紀章氏が結成した共生新党との連携も模索中とされ、「告示直前に日本人なら誰でも知っている大物が出る」(国民新党関係者)という情報もある。
 国会対応では野党共闘を重視し、反自民の立場を貫いた国民新党だが、「綿貫氏や亀井氏がいつまでも民主党と付き合っているはずがない。まして、共産党や社民党と同一歩調を取ることはあり得ない。いざとなれば連立政権を視野に入れた行動に出るだろう」(自民党幹部)といった見方がもっぱらだ。
 国民投票法の参院本会議採決では、民主党から渡辺秀央氏が賛成票を投じるなど造反が出た。自民党としては、参院選敗北の場合、「一本釣り」する対象となることは間違いない。
 これと呼応して、衆院レベルでも前原誠司氏ら小沢代表の「野党共闘路線」に反発するグループが離党する可能性も出てきた。「前原新党結成で自民党と連立を組む」事態もあり得る。
 となれば、国民新党としても黙って見ているわけにはいかない。自民党との距離感は民主党離党予備軍よりも近いはずなのだ。そうした局面を予想してか、このところ、綿貫代表は安倍首相に対して柔軟姿勢を示している。安倍首相が靖国神社に神前への供え物「真榊(まさかき)」を奉納したことについても、「新しい参拝方式で、いいんじゃないか」と評価している。
 国民新党の与党入りの観測は、参院選で自公与党が過半数をわずかに割った程度では安倍首相退陣はない、という見方が一般的になったことも大きく作用している。
 亀井氏が政策連合についていう。
 「自民党も民主党も、国民新党の政策を丸呑みにする方向に行っている。格差や外交問題など、小泉政治のときとは違う動きが出てきた。郵政は完全に見直す。郵便局をなくさないように歯止めをかける。次の国会で郵政民営化見直し法案を出していく。これに乗るのか、乗らないのか。ここに『政策連合』の可能性が出てくる」


ゲートボール人口が減る理由



 亀井氏は簡単に自民党へ復党するようなスタンスは取らない。あくまで郵政民営化を再改正する方針で、安倍首相に“踏み絵”を迫る戦略である。そのほかに、国民新党は何を主張していくのか。亀井氏が力説する。
 「社会保障改革も教育改革も、強者の論理ばかりで、やることがおかしい。とくにひどいのが介護だ。抜本的に見直し、年金・介護・医療で一括してやらなければダメだ。いまどういうことが起きているかというと、健康な人もちょっとのことでヘルパーの世話になっている。隣の大金持ちのおやじさんがヘルパーを呼んでいる。それを見て、俺も掛け金を払っているのに、どうなっているんだと疑問を持つ。だから、ヘルパーを呼ばなければ損だ、重度でなく軽くていいから介護の認定を受けなければ損だという人が増えている。それで、いまゲートボール人口が減っているんだよ。そりゃそうだ。ヘルパーに来てもらって、ゲートボールへ行くわけにいかないもの」
 亀井氏によれば、日本の伝統的な親子関係(子どもが親の面倒を見る)を無視して、北欧の制度を取り入れたのが、当時の厚生省の役人の発想だという。厚生官僚は労働省と一緒になることを見込んだうえで、ヘルパー企業や派遣労働の育成を先取りしたのだという。いまの介護は金儲けの道具なのだ。
 「教育だってそう。知識をいくらつめ込んだって人間力を作らなければダメ。いつの時代もいじめはあるが、人間力がないから挫折して、登校拒否して自殺する。東京のように自由に学校を選べるようにして、学校の優劣の競争をしていたら逆に差別感は増すばかりだ。国民新党は、18歳以上は親が子どもを養育すべからず、大学へ行くお金を出したりしたら、重加算税をつけたらいいといってる。そのくらいしないと親バカ、子バカは直らない」(亀井氏)
 20年後、30年後、日本が溶けてなくならないためにも、安倍首相は国民新党の政策に耳を貸すべきではないか。

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