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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2007.9.24◎Kyodo Weekly
It's小(ショウ)タイム
国民新党 亀井静香代表代行

一寸先は闇


 安倍晋三首相が辞意を表明しました。突然の事でびっくりです。参院選で与党が大敗しても辞めないと一度決めた以上、首相たる者、最後まで突っ込んでいかなければだめでしょう。しかし、医者にかかり、点滴を受けながら執務していたということ…。
 与謝野馨官房長官と麻生太郎自民党幹事長の責任は重大です。首相が体調を崩しているのを知っていたのなら、その任に堪えることができるかどうかを判断して、堪えられないのならちゃんとした「引き際」を考えるのが官房長官、幹事長の役目のはず。
 首相が所信表明演説を済ませ、いよいよ野党の代表質問を受けるその日に職務を放棄してしまうというのですから、今の首相官邸、自民党の危機管理能力がいかに衰えているかをあらためてさらしてしまった。首相ひとりの責任にしてしまうのは酷な話です。
 辞意を表明する前から、最近、安倍首相に力強さがないとは感じていました。参院本会議での所信表明演説の際に文章の一部を読み飛ばしてしまい、ヤジを浴び、もう気力、体力とも続かなくなってしまったのではないでしょうか。
 「ポスト安倍」を決める自民党総裁選に、福田康夫元官房長官、麻生幹事長が立候補しましたが、どちらが首相になっても、与党が多数を占める衆院と、野党が多数を占める参院とのねじれが解消するわけではありません。新たな首相や閣僚に失態があれば、野党は問責決議案を参院で可決、政権に突き付けることになる状況に変わりはありません。
 参院には解散がありませんから、野党主導は少なくとも3年以上は続きます。こうした事態を打開するためには、参院を中心とした政界再編しかないでしょう。参院で自民、公明の与党側が野党議員を「引っこ抜く」ことができない限り、政局は小沢民主党のペースで進むことになるでしょう。
 ただ、衆院では与党サイドが多数を占めていますから、衆院解散・総選挙に追い込むことは簡単ではありません。
 新首相が安倍首相と同じように、テロ対策特別措置法の延長に突き進むのであれば、法案は参院で野党の反対、否決にあった後、衆院で再議決という事態になるでしょう。再議決に踏み切れば、野党は参院へ首相の問責決議案を出すことになる。
 参院で新首相の問責決議案が可決され、首相として認められないから審議はできないと野党が腹をくくれば、やむを得ず衆院解散・総選挙という可能性はあります。けれども、野党の審議拒否に対する世論の反発も予想されますから、審議拒否を押し通せることができるかという問題があります。
 一方、公明党には再議決にためらいがあります。野党が参院でテロ特措法の慎重審議を展開すれば、採決がずれ込み、来年度予算の編成の時期に差しかかってきます。新首相を指名しても国会は依然、波乱含みであることに違いはありません。
 衆院選の“洗礼”を受けていない首相の力は弱い。政府は独立行政法人(独法)の整理合理化を進めていますが、101ある独法のうち、9月初旬に各省が新たに「廃止」と回答した法人はゼロ。霞が関の官僚も政権の足元を見ています。

※無断転載を禁ず


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