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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2007.11.19◎Kyodo Weekly
It's小(ショウ)タイム
国民新党 亀井静香代表代行

キツネにタヌキそしてトラ


 かつて私は、自民党と当時の社会党、新党さきがけによる自社さ連立政権づくりに汗を流しましたが、あの時は自衛隊の位置付けをはじめとして日の丸・君が代の問題などについて、政策協議を徹底的に行って合意にこぎ着けたのです。
 大連立構想が話し合われた先の福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表との党首会談では、国連決議があれば武力行使もあり得るというような考えで一致したと言われていますが、そのような合意には自民、民主双方から異論が出ることが分かりきっていたはず。そして、ほかの政策について話し合った形跡はなし。そんな状況で連立ができるわけありません。
 新テロ対策特別措置法案をめぐる大連立構想と、それに続く小沢さんの辞任表明騒動を分かりやすく解説すると、キツネとタヌキの化かし合いの後ろに米国というトラが控えていてにらみを利かせていた、ということでしょうか。
 首相にしてみれば、大連立が成就できなくとも結果的に民主党内が騒ぎになるわけですから、どちらでもよかったということになります。対テロ新法案は成立するでしょう。民主党は反対だと突っ張っても、与党が衆院で3分の2の賛成多数で再議決しても参院で問責決議案は出せない状況になってしまった。大連立のプロポーズをしてきた首相に対して、いったん色気を示した小沢さんは冷たい態度を取れないでしょう。
 小沢さんは、福田首相との党首会談についてわが党や社民党に「いろいろご迷惑をおかけした。今後も頑張りましょう」と陳謝しましたが、会談が行われてから1週間もたった後のことです。民主党とは10月下旬、参院で統一会派を結成したばかり。会談の中身について報告しろとは言いませんが、会談しますよという連絡すらありませんでした。わが党の綿貫民輔代表も怒って当然です。
  民主党が一連の騒動で混乱してしまい、福田首相にとって国会運営はやりやすくなりました。衆院解散・総選挙も当分ないでしょう。
 小沢さんはいったん辞任を表明した記者会見で「次期総選挙での勝利は厳しい情勢にあります」と公言してしまいましたから、首相に対し解散を迫るという迫力が失われてしまった。政府、与党としても、解散してしまえば、今なら衆院で政府、与党の法案が参院で否決されても、衆院で与党が3分の2の多数をもって再議決して成立させることができますが、その力をみすみす失う可能性があるのに、衆院選をやろうということにはならないでしょう。
 年末が近づく中、株価が1万5000円を割るという事態になっていますし、地方では今、建築確認に時間がかかってしまって、デベロッパーから中小企業の下請けまで“建築確認不況”で困っています。自民党に有利な状況とは言えません。
 民主党のごたごたで、自民党は参院選後の劣勢を逆転しましたが、また、逆転が起きると予言できます。防衛省の守屋武昌前事務次官をめぐる問題は、政官業の癒着構造が吹き出した格好です。自民党を中心とする政権は、賞味期限が完全に切れている状態。守屋氏の問題は政府、与党にボディーブローにように効いてくるでしょう。

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