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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2008.2.18◎Kyodo Weekly
It's小(ショウ)タイム
国民新党 亀井静香代表代行

議員立法で終身刑導入を


 福田内閣は2月1日、発足以来2度目の死刑を執行しました。世界的な潮流に逆行することをなぜやらなければいけないのか、大きな疑問です。
 昨年12月には国連総会が死刑の執行停止を決議し、韓国でも執行中断が10年を超えています。ヨーロッパは死刑を廃止しており、主要国(G8)の中で死刑制度を存続させているのは日本と米国だけ。人権団体アムネスティ・インターナショナル日本も死刑執行に抗議声明を発しました。鳩山邦夫法相には、冷静に、人間存在そのものについてしっかりと考えてもらいたいものです。
 国家による殺人をどんどんやっておいて、国民に人を殺してはいけないと言うのは二律背反です。「死」には「死」を、という報復の連鎖で国民は幸せになれますか。パレスチナを見れば答えは明らかです。死刑制度は凶悪犯罪発生の抑止にはなっていないのが現実で、冤罪(えんざい)という問題もあります。冤罪事件の被害者の悲痛な叫びを聞いたら、死刑に対する考え方も変わると思います。
 国民の多くは死刑を存続すべきだと考えているようですが、政治はそうした国民の報復感情に乗っかっていてはいけません。政治家であれば、世界の声に耳を傾けなければいけません。人間は「仏の心」と「悪魔の心」を持っていますが、加害者の「仏の心」を引き出す努力をしないといけません。
 超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」は、「終身刑」の導入と、国会に死刑制度の是非を検討する調査会を設置することを柱とする議員立法を準備し、この通常国会で参院へ提出したいと考えています。公明党の浜四津敏子代表代行が中心となって原案を作成したり、自民党の加藤紘一元幹事長が新たに参加したりと、動きを活発化させています。
 死刑を直ちに廃止するということは国民世論もあって、なかなか難しいですが、終身刑の導入には賛成してもらえるのではないでしょうか。死刑と無期懲役との間に新たに終身刑を設けることで死刑判決に歯止めをかける、死刑廃止に向けた一里塚にしたいと考えています。
 凶悪犯罪を犯した以上は、心から謝罪し、被害者のめい福を祈るという生活を送ってもらわないといけません。終身刑による労役の“果実”は被害者家族に手渡されます。受刑者は「贖罪(しょくざい)の日々」を送ることになりますが、これには耐えなくてはなりません。人権上、残酷だとの指摘は当たりません。
 自民党議員時代から死刑廃止に取り組み、自民党の法務部会で終身刑導入の議員立法提出を検討してもらおうとしましたが、法務省の意向を受けた議員による反対の“大合唱”に遭って、かないませんでした。今度は自民党を含む与野党の各議員に立法化を働き掛けていきます。
 来年から導入される裁判員制度では、市民も死刑判決にかかわる可能性があります。被害者の家族が加害者のことを「けしからん、死刑に処してくれ」と涙ながらに訴えたら、市民の中から選ばれた裁判員はどう判断するでしょう。
 団藤重光元最高裁判事は「死刑廃止なくして裁判員制度なし」と発言してますが、至言です。

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