新聞・雑誌等での亀井静香の発言
不誠実な自公政治
福田康夫首相は道路特定財源の2009年度からの一般財源化を提示する一方で、揮発油税の暫定税率については08年度は維持し、09年度以降については検討するとしましたが、これは矛盾した提案と言わざるを得ません。暫定税率を設けているのは道路整備が目的ですから、一般財源化するのであれば、暫定税率を廃止しなければなりませんが、あいまいです。
政府、与党は、地方財政に穴があくと、ことさら騒ぎ立てていますが、2・6兆円なんてわずかな額です。財源論を盾にとって、理屈にならない理屈をこね回している。道路整備特別会計などを活用すれば、赤字国債や建設国債を直ちに発行しなければならないという話ではありません。できるのにできないと言ってみたり、自分たちの決めた方針は頑として譲らなかったり、不誠実な政治となっています。
政府、与党は暫定税率復活のため、衆院での再議決の構えを見せていますが、国民生活を守る対策を何も取らないまま、いったん下がった税率を再び上げれば事実上、増税になってしまいます。「対策なき増税」に賛成するわけにはいきません。
首相提案を踏まえ、自民党内では混乱が起きています。伊吹文明幹事長は当初「党内手続きを取っていない」と突き放したような発言をし、一般財源化推進に賛成の議員と、反対の議員が対峙(たいじ)しています。公明党内も議論沸騰です。物価が上昇する中、値下がりしたガソリンを再び上げることに、庶民の党、生活者の党として本当に賛成できるのかどうか、熟考しなければならないところでしょう。
社会保障問題をめぐる対応でも、福田内閣は政権の体をなしていません。年金保険料から後期高齢者の医療保険料を天引きすることは許せません。天引きしようとしている年金制度が、政府のミスでもらえる分ももらえない状況に陥っているのに、そこからお金を取ってしまう。見返りの制度はしっかりした内容になっていない。これではやらずぶったくりです。後期高齢者医療制度を長寿医療制度と言い換えて、言葉でごまかそうとしてもだめです。
福田政権はもはや無政府状態に陥り、国家運営の基本方針すら決められず、千鳥足です。首相は道路特定財源の一般財源化についての見解を示した上で、衆院を解散し民意を問うべきでしょう。いずれ来年秋で衆院議員の任期は満了となりますから、選挙は時間の問題。国民に信を問い、きちっとした政策の遂行能力のある政権を一日も早くつくることが政治論としては当たり前の道筋です。
内閣総辞職しても状況は同じこと。首相の首だけすげ替えても、選挙の洗礼を受けないでまた自民党中心の内閣では国民が納得しません。民主党は、昨年の参院選結果を直近の民意だと主張して福田政権を批判しているわけですから、政府、与党が対抗するには、現在の民意を問うしかありません。衆院選後には政策を中心とした政界再編が起きるはずです。
衆院での暫定税率に関する再議決だけでなく、年金問題なども含め、首相の政治責任をトータルで追及しなければならない状況ならば、5月の連休明けに参院で問責決議案が可決される可能性も出てくるでしょう。
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