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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2008.7.14◎Kyodo Weekly
It's小(ショウ)タイム
国民新党 亀井静香代表代行

合同「捜査」で拉致解決を


 福田康夫首相とブッシュ米大統領は、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)前日に会談を行い、北朝鮮の非核化と拉致の問題について緊密に連携、協力する考えで一致したといいます。大統領は拉致問題で「決して日本を見捨て、置き去りにすることはない」と言いましたが、これは日本に対するリップサービスでしょう。
 先の米国による北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除の決定には疑問が残ります。大統領の任期が来年1月に切れる前に、北朝鮮の核廃絶に向けた道筋を何とかつけたいというブッシュ氏相手に、金正日総書記が付け込んで指定解除を引き出した、というのが実態ではないでしょうか。
 ブッシュ氏は、イラクやアフガニスタンをめぐる力の外交が破たんをきたしたため、対北朝鮮では融和路線に切り替え、実績を残そうとしたようですが、テロ支援国家指定の解除で米国は外交カードの選択の幅を狭めてしまった。次期米政権にとってみれば、民主党であれ共和党であれ、やりにくくなったのでは、とみています。
 北朝鮮が提出した核計画申告書には核兵器の取り扱いについては触れていません。寧辺の冷却塔爆破はナンセンス。ブッシュ政権にとっては象徴的な出来事として演出する必要があったのでしょうが、単なるショー、パフォーマンスにすぎません。
 北朝鮮が核廃棄のプロセスを本当に踏んできている、拉致問題解決に向けて具体的な行動を起こしたということを検証できて初めてテロ支援国家指定の解除をすべきだと日本は米国に強く主張すべきでした。今は指定解除の「ジョーカー」を切る時期ではない、検証した後に切るべきだ、と米国にプレッシャーをかけるべきでした。
 テロ支援国家の指定がいったん解除されれば、再指定の理由を探すのは難しい。ブッシュ氏の花道づくりに協力しただけで、日本の外交を米国に預けてしまっていることを露呈してしまい、日本の国益を考えれば、失策といえます。
 日本は、日朝実務者協議で北朝鮮が拉致問題での再調査を約束したことを評価しているようですが、どういう方法で行うかが肝心なのです。拉致についても核と同じように検証可能なものにするため、北朝鮮と日本の警察が合同で「調査」というより「捜査」をすることが必要です。
 金総書記は「特殊機関の一部が妄動主義、英雄主義に走って」拉致してきたことを認めています。これを“突破口”に、日本の警察と北朝鮮が合同で拉致被害者の足どりを調べる。その過程の中で被害者の生存が判明した、といって幕引きするしかありません。
 ことさら「拉致を反省し、被害者を返せ」と北朝鮮に迫っても実現は難しいと考えます。北朝鮮にしてみれば、日本も多くの人民を半島から連れていって日本で働かせたじゃないか、という感情もあるでしょう。
 現在、日本と北朝鮮は国交はありません。いまだ戦争状態ということです。ふらちな連中が事件を起こしたと認めたのに、これ以上何をしろというのかというのが北朝鮮の理屈。北朝鮮のメンツをつぶさない格好を取りつつ、被害者が無事に帰国できる方法を福田首相自らが考え出すことが求められています。

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