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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2009.3.30◎Kyodo Weekly
It's小(ショウ)タイム
国民新党 亀井静香代表代行

憲法との“間合い”


 ソマリア沖の海賊対策で、自衛隊法に基づく海上警備行動が発令され、野党が反対する中、海上自衛隊の2艦船が14日、広島県の呉基地を出港しました。自衛隊は本来、他国が日本を攻めてきた場合に対応するための専守防衛の実力組織。わざわざソマリア沖まで派遣するという以上は、きちんとした手順が必要です。

 海賊行為に対応するのは本来、警察権を持つ海上保安庁の仕事で、巡視船「しきしま」も保有しています。これまでプルトニウム輸送の護衛を行ったり、北朝鮮工作船を沈没させたりといった実績も挙げています。自衛隊の艦船を丸ごと借り上げるという方法もあったはずですが、保安庁は自ら艦船を派遣することなく、職員8人を海自の艦船に同乗させただけ。できる限りのことをやった上で、自衛隊に出動を要請をするのなら分かりますが、そうなっていません。

 日本は他国にはない憲法を持っているわけですから、憲法との“間合い”を図りながら現実に対処しないといけません。「他国が軍隊を出しているから、日本も自衛隊を」との発想ではいけないのです。竹島や尖閣といった問題をめぐっても第一義的に対処するのは海上保安庁の仕事。他国から見れば自衛隊は軍隊ですから、軍同士が衝突するのと、軍事力と警察力との衝突では、問題の大きさ、事後処理が違ってきます。

 政府が国会へ提出した「海賊対処法案」も問題だらけの内容です。まず、対処に当たるのは海上保安庁であることを前面に出さなければいけません。派遣の目的や場所、期限の明記も必要でしょう。恒久法のような扱いで、自衛隊をいつでもどこへでも派遣できるような内容は認められません。

 警告射撃をしても接近してくる海賊船に対しては船体への射撃を認める一方、自衛隊員は逮捕権などの司法警察権を持たないため、逃走した海賊に対する追跡については認められない…。海賊摘発のための法律のはずなのに、それでは効果は期待できません。

 西松建設の献金事件をめぐり、東京地検特捜部による民主党の小沢一郎代表の第1公設秘書逮捕は、選挙妨害以外の何ものでもありませんでした。本来は任意捜査が原則の事案。民主党の鳩山由紀夫幹事長や西岡武夫参院議院運営委員長が樋渡利秋検事総長の国会招致を検討する意向を表明していますが、正論です。

 政府、与党は「検察官を証人や参考人として国会に呼ぶのは検察の独立性や公正性保持の観点から問題だ」などと言って拒んでいますが、検事総長も政府の一員。裁判官ではありませんから司法の独立を侵すものではありません。どうして「この時期に」「野党側だけ」「逮捕」したのかと、その捜査手法を国会で説明してもらっても何ら問題はありません。

 米コロンビア大のジェラルド・カーチス教授は「形式犯で、次期首相になる可能性がある人物の公設秘書をいきなり逮捕するとは、極めて異例である。だからこそ、検察の説明責任が問われるのだ」「当局のリークなどによる巧妙な情報操作への疑念も生じさせている」などと指摘していますが、全くその通りです。

※無断転載を禁ず


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