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新聞・雑誌等での亀井静香の発言

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2010.8.16◎Kyodo Weekly
It's小(ショウ)タイム
国民新党 亀井静香代表代行

新型国債を検討せよ


 千葉景子法相による死刑執行には、強い憤りを禁じ得ません。死刑に否定的な考えを示していただけに、なぜ信念を変えたのかをきちんと説明すべきです。国民に不意打ちを食らわせ、政治不信を招くという“罪”を犯してしまいました。

 法務官僚の圧力に屈してしまった千葉氏の姿は、2011年度予算作成をめぐる財務官僚と菅直人首相との関係に重なって見えてしまいます。

 財政再建は思い切ってやらなければなりませんが、まず成すべきは経済をちゃんと立て直し、税収が上がるようにすること。そのためには景気対策をやらなければいけないし、その税源が必要です。

 菅政権は11年度予算に関して、新規の国債発行を10年度並みの44兆円に抑えるという“天井”を設けてしまいましたが、そうした緊縮予算では経済はすくんでしまいます。税収はますます落ち込み、縮小再生産の道に陥り、結果として、財政再建は遠のいてしまいます。

 そうした事態を回避するためには、景気対策のための財源を確保しなければなりません。税収増加の見込みはなく、特別会計の無駄を削るといっても限りがある中、どう財源を捻出(ねんしゅつ)するかが政権にとっての最大の課題といえます。現在の経済状況では、増税で国民からお金をいただくわけにはいきません。そうであれば、国民の皆さんから新たな方法でお金を借りるしか策はありません。

 例えば、道路の立体交差化や森林整備事業、そして公園などの緑地化といった二酸化炭素(CO2)削減を目的とした「環境国債」を発行する。あるいは、介護・医療施設の充実や福祉分野での人材確保・ネットワーク化を目的とした「福祉国債」も一案です。

 消費税率の引き上げは、増収分を福祉分野に限定して使用することが前提となり、議論には時間を要します。これに対して、「環境国債」「福祉国債」は来年度予算からの導入が可能です。しかも、国債の利率は国民へ還元されますし、森林整備や福祉分野での新たな雇用をも生み出します。

 国民新党は、利子が付かない代わりに相続税もかからない「無利子非課税国債」の発行も一貫して主張してきました。土地を有する資産家などの間で、購入しようという動きが出てくるはず。

 “眠っている”個人金融資産約1400兆円で、こうした新型国債を買ってもらえば、景気対策は可能となります。

 政府にお金がないのなら、借りるしか方法はないのです。菅首相は、マニフェスト(政権公約)を捨てないとの立場を堅持するのなら、なおさら、財源の確保策を真剣に考えなければなりません。財務省の呪縛から抜け出し、国民に夢を持ってもらえる政策を提示し、利益を享受できそうだと納得ずくで国民が国にお金を貸し出す仕組みを創出すべきです。消費税をめぐる発言について国民に謝ってみたところで、内閣支持率が上がるわけがありません。

 菅首相は「増税はしません。財源を大胆につくり、『国民生活第一』の政策を展開し、その上で財政再建をやります」と決断し、有識者も入れた「国債に関する研究会」を新設するなどして、新型国債を検討すべきです。

※無断転載を禁ず


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