活動実績

新聞・雑誌等での亀井静香の発言

戻る

2010.11.08◎Kyodo Weekly
It's小(ショウ)タイム
国民新党 亀井静香代表代行

耳を疑う前原外相発言


 環太平洋連携協定(TPP)をめぐる動きが活発化しています。菅直人首相はTPP参加に前向きと伝えられていますが、先の「消費税増税」発言同様、この問題は国民に大きな影響を与え、対応を間違えれば、政権への打撃は計り知れません。

 民主党と連立を組む国民新党は、拙速な日本政府のTPPへの参加表明には明確に反対です。アジア諸国と共に互いに成り立っていくためには、どのような経済関係を結んでいくことが望ましいかを政府、与党間で十分議論し尽くさなければならないのに、まったく協議がなされていません。

 与党との議論なしに、10年以内にすべての関税を撤廃しようという「チーム」に加わることを、アジア太平洋経済協力会議(APEC)開催に合わせて表明するのはとんでもない話です。先に開かれた与党議員100人以上が集まる勉強会でも、TPPに反対との声が上がっています。

 前原誠司外相は「第1次産業が日本の国内総生産(GDP)に占める割合は1・5%。それを守るために98・5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか」と発言したそうですが、その言葉に耳を疑ってしまいます。

 ヒトの体でも、心臓だって肝臓だって腎臓だって全体の重さからすれば、数%かもしれませんが、体全体にとっていずれも大切な機能を担っている。国家にとって1・5%だからと、ある産業をそのような観点でとらえるのは的外れもいいところです。

 シンガポールにしても、ブルネイにしても、「金融国家」を目指しています。世界の国々は個別の事情を抱えており、それを調整しながら共存していこうとしているのが実態で、すべての“垣根”を取っ払い、完全な交易自由化をやるのなら、それこそ世界的規模の「弱肉強食の世界」が出現してしまいます。

 デフレ経済の中、第1次、第2次、第3次産業とも沈み込んでいる中、極端なルールを先取りして約束しても、国民へのきっちりとした説明がなければ、さまざまな産業で働いている国民に不安を与えるだけで、政権として無責任だとのそしりを免れません。どうして、こんな“火遊び”をするのか、不思議でなりません。

 国民が期待しているのは、政権交代したからには、自民党政権とは違った、国民生活を守る政策を実行することです。

 円高対策で、2兆円程度の為替介入をやっても、投機的な動きもある中、「虚の世界」にもてあそばれるだけ。今、日本経済にとって大切なのは、実体経済の基調をどうしていくかという視点です。外需だけに頼らず、為替相場とは関係のない国内需要を健全に発展させていくことが大事なのです。日銀がいくら金融緩和しても、融資を受け、生産活動をし、商売を展開していくといった動きが出てこない限り、経済は良くなりません。

 菅氏は日本経団連の米倉弘昌会長と直接会って「法人税を思い切って優遇し、場合によっては助成金も出すので、経団連として、企業が海外への工場移転をやめ、国内で生産するよう奨励してもらいたい」と話し合うべきです。そうすれば、菅氏が声高に叫んでいる雇用も、消費活動も是正されるでしょう。

※無断転載を禁ず


戻る

TOPに戻る

バックナンバー