夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【3】自己矛盾に陥った小泉政治
2003.01.23

デフレ推進策の張本人

 通常国会が召集された。今国会は平成15年度予算を成立させることが最大の課題だが、その前に14年度の第一次補正予算を早急に通さなければならない。
 前々回の当コラムでも触れたが、この第一次補正予算は景気対策としては少な過ぎるうえ、本来、昨年の臨時国会で通すべきものを通常国会まで引っ張ったため、7月以降しか効果は出てこない。これでは、デフレ不況下にある日本経済を立て直すことは不可能だ。
 今国会中に14年度の第二次補正予算を新たに通し、15年度予算成立後に同年度の第一次補正予算を組むような、二の矢、三の矢を次々に放っていかなければ日本経済はつるべ落しのようになる。
 ただ、小泉純一郎首相の状況認識は相変わらずだ。
 先週の自民党大会で「デフレ抑制が内閣の再優先課題となった」と絶叫していたが、現実にデフレ推進策を進めているのは首相自身ではないか。完全な自己矛盾、政策矛盾に陥っている。
 50%前後の支持率が自信の背景のようだが、国民の意識とはほど遠い。
 デフレが進んで物価が下がれば、主婦や年金生活者は「バーゲンが増えた」「買い物に便利」などと単純に喜ぶ。世論調査はこういう人々が対象になりやすいため高い支持率となるが、経営者やサラリーマンの支持率はかなり低い。
 主婦や年金生活者も身近で賃金カットやリストラがあれば、一気に評価も変わるはずだ。
 首相や政府に景気対策が期待できないため、今後、思い切った政策を連立与党、特に自民党の有志議員たちと突き上げていく。

 日本社会に損失

 具体的には、不況の影響をモロに受けている地方経済の再生に向けて、地域に合った中小零細企業向けの処方箋(せん)などを出していきたい。
 また、高校や大学を卒業したが就職口のない若者のため、国と民間企業がタイアップして有給の職業訓練などが受けられる仕組みも考えている。
 働く意欲がある若者を無職のままブラブラさせておくのは、若者自身にとっても、日本社会にとっても大きな損失。企業は不況下で雇用をする余裕はないかもしれないが、国が補助金を出すなどして、将来の日本を支える若者たちをバックアップできるのではないか。
 北朝鮮問題に関する提言・苦言も山ほどあるが、スペースの都合もあるので、次の機会にじっくりと書かせていただく。

政策転換できるか

 ともかく、首相が失政を認めて、コペルニクス的な180度の政策転換をできるか否かが、今後の政局のポイントとなる。それができないなら、通常国会中にも小泉政権が行き詰まる可能性もある。

※無断転載を禁ず

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