夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【5】拉致問題解決へ決意と行動示せ
2003.02.06

米高官も賛意

 米スペースシャトル「コロンビア号」が帰還寸前に空中分解した事故は心痛極まるニュースだ。亡くなった宇宙飛行士の方々のご冥福(めいふく)をお祈りするとともに、米国民のみなさんに心からお悔やみを申し上げたい。
 私は1986年の「チャレンジャー号」爆発事故の後、日系人初の宇宙飛行士として事故に遭われたオニヅカ空軍大佐を慰霊するために、彼が生まれ育ったハワイ島・コナを訪れたことがある。
 そのときも感じたことだが、人類が未来に挑戦していく過程において、どうしても尊い犠牲が避けられないことがある。
 宇宙開発に伴う技術革新はさまざまな分野に波及しており、世界中の人々の暮らしを豊かにしている。事故原因を究明して再発防止に徹底を尽くすのは当然だが、人類の進歩のためにも、勇敢に任務に当たった飛行士たちに報いるためにも、宇宙への挑戦を躊躇(ちゅうちょ)してはならない。
 ブッシュ大統領は事故直後、緊急のテレビ演説で「米国の宇宙への旅は続く」と語った。わが日本も従来以上の取り組みをすべきではないか。
 さて、先週のコラムにも書いたが、私はコロンビア号の事故が起こる直前にワシントンを訪問し、アーミテージ国務副長官らとさまざまな意見交換をしてきた。
 当然、北朝鮮問題も話題に上ったが、私は「大量破壊兵器やミサイルの撤去・廃棄だけで、北朝鮮への経済援助を復活されては困る。拉致問題とセットでやってほしい。米国と日本、韓国、中国、ロシアの五カ国が水も漏らさぬ体制を組んでほしい」と訴えた。
 米政府高官は「その通りだ!」と応じてくれたが、正直いって米国が拉致問題に強い関心を持っているとの感触は薄かった。やはり、日本側が拉致問題について、北朝鮮がどう対応したら決着なのかを明確に示さなければならない。
 そのためにも、北朝鮮による新たな拉致疑惑が浮上している方々についても警察庁を中心に全力で事実を確定する作業を行い、日本政府として北朝鮮に要求すべき中身を確定することが大切だ。
 私としては「現時点で確定している拉致被害者の問題の全面解決に加え、今後、新たな拉致被害者が発覚した場合は同様の措置を取る」という、金正日総書記の確約を取るべきだと考えている。
 これに大量破壊兵器とミサイルの撤去・廃棄が加われば、わが国としては防衛費削減にもつながるのだから、経済援助に踏み込んでもいいのではないか。
 当然、北朝鮮がこれに応じなければ一切援助する必要はない。向こうが非協力的ならば、あらゆる船舶や交通機関の行き来をやめ、人や物、金の流れをストップさせるぐらいでなくてはならない。
 こうした私の考え方に対し、アーミテージ副長官は「まったく同感だ」とうなずいてくれたが、日本が拉致問題解決の主導権を取っていくという断固たる決意と行動を示さなければならない。

※無断転載を禁ず

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