夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【8】世界マタのテロリストに対応 FBI並み捜査陣作れ!!
2003.02.27

 先日、パウエル米国務長官が来日していたが、米国がイラクの軍事制圧に乗り出すタイムリミットが刻一刻と近づいている。
 以前にも連載で書いたが、私は軍事制圧はいつでもできるのだから、日本を含めた世界各国は全力を挙げて、イラクが大量破壊兵器を開発・隠蔽(いんぺい)できないよう、国連査察や監視体制の強化に取り組むべきだと思う。罪のない市民、特に子供や女性が犠牲になる事態は避けなければならない。
 万が一、米国がイラク攻撃に踏み切った場合、テロが世界中に拡散する可能性は極めて高い。日本も米国の同盟国である以上、テロ攻撃を受ける覚悟をして、十分な対応策を取らなければならないだろう。
 警察庁時代、私がテロやゲリラを取り締まる責任者をやっていた経験からいうと、日本では新幹線や地下鉄、デパートなどがテロの標的となり得る。厳戒態勢を敷いても限界があるため、未然にテロを防ぐためには、警察庁や公安調査庁が思い切って事前情報の収集に当たれる態勢を整えなければならない。
 かつて事前情報を入手できたため防げた爆弾テロもあったが、イスラエル・テルアビブ空港乱射事件のように、日本の赤軍派がアラブの大義に共鳴して、100人前後の死傷者を出すテロ事件を起こしたこともある。
 事件後の捜査で、日本国内に犯人たちを送り出す大掛かりな組織が存在していたことが分かって摘発したが、事前にテロに関する情報をキャッチできなかったことで慚愧(ざんき)に耐えない思いをした。
 早急に着手すべきテロ対策とは「人と金」を入れ、法律や装備などを整えることだ。これはイラクより身近な北朝鮮対策にもつながる。
 1人の要注意人物に24時間尾行を付けるには20人以上もの人員がいる。事前情報を入手するには、危険を承知で内部に潜行する人間も必要だ。現在の人員ではどうしても足りない。
 世界をまたに掛けるテロリストに対応するには、FBIのように日本全国で捜査権限を持つ組織を作るべきだ。また、現在の警察官職務執行法では、身体検査さえ相手の同意なしにはできない。これではテロリスト相手の捜査などできない。
 北朝鮮製ミサイルの危険性が叫ばれているが、1、2兆円あれば迎撃ミサイルを整備することができる。防衛のための装備だから憲法違反にもならない。国民の生命と財産を守るためにも、今すぐ取り組むべきではないか。
 私はイラクも北朝鮮も戦争以外の平和的解決を祈っているが、いったん日本でテロが発生すれば、取り返しのつかない大惨事となりかねない。政府には、そうした危険性を軽減させる具体的対応が求められている。

※無断転載を禁ず

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