夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【9】未曾有の苦境乗り切りへ 日本人の魂を呼び起こせ
2003.03.06

復活への秘策出版

 私事だが先月末、教育評論家の涛川栄太氏との対談形式の共著「繁栄のシナリオ」(中経出版)を出版した。誇りと自信を失った日本人に喝を入れ、美しく力強い日本を復活再建するための秘策を記した一冊だ。
 最近、世間では「日本という国はこのまま衰退、停滞しても仕方がない」といった雰囲気が漂っているが、これは決定的な間違いといえる。あの敗戦から復興を果たせた国が、現在の苦境を乗り切れないはずがない。
 日本は1400兆円の金融資産、4000億円の外貨準備高という、他国がうらやむような基本財産を持っている。科学技術、最先端技術を無限に発展させる努力を怠らなければ、現在の水準をさらにアップさせる国力は十二分にある。
 それなのに、どうして正反対の心理状況が働いているのか?
 これは日本人が自国の歴史に対して持ってしかるべき誇りと自信を失ったため、自分たちの力を信じて未来に突き進めなくなっているのだ。戦後、米国の猿マネばかりを経済や社会生活に持ち込み、国土や国民を守る安全保障まで頼り切ってしまっている。こうした精神的堕落が大きな原因といえる。
 小泉純一郎首相は米国の支持を得て「改革」を進めているが、その結果、中小零細企業だけでなく、一部上場企業までが戦後最悪という倒産数を記録。ハゲタカ外資が日本企業を次々と買いたたき、年間3万人以上が自殺している。

 大多数が不幸に

通常の改革は、国を豊かにして国民を幸せにするはずだが、首相の改革はハゲタカ外資とごく一部の強者だけを潤して大多数の国民を不幸にさせている。まさに「弱い者は死ね」という発想。一体、これは誰のための改革なのか。
 われわれ日本人の魂(精神)の喪失が現在の惨状を引き起こしているなら、本来、日本人が備えていた魂を呼び起こす以外に復活再建の道はない。
 私は日本人の魂を蘇らせるために、日本が米国占領下から主権を回復したサンフランシスコ講和条約の批准日である4月28日を、日本の「独立記念日」として制定する超党派議員の運動を進めている。
 こうした熱い思いを本には書き込んだ。
 先月末、東京・新宿の紀伊国屋書店で出版記念のサイン会を開いたところ、予定の2倍以上という250人もの人々が集まってくれた。驚いたことに、2、30代の若者が多く、「亀井さん、経済を何とかしてください」と手を握ってくるOL風の女性もいた。
 未来を担う若者たちまでが現在の日本に不安を感じている。改めて、政治家としての責任をヒシヒシと感じた。

※無断転載を禁ず

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