夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【11】ブッシュ、フセインに最後通告
2003.03.20

後方支援や戦後復興の協力…日本も現実的対応を

 20世紀は科学技術の爆発的発展で人類社会が極めて便利になった半面、戦争や革命が相次いだ世紀でもあった。私は21世紀こそ、地球という小さな惑星で暮らす数10億という人類が、お互いを傷つけ合わずに共生していける世紀になってほしいと祈っていたが、不吉な予感が漂ってきた。
 ブッシュ米大統領は17日午後(日本時間18日午前)、イラクに対する最後通告を行った。今週末にもイラク攻撃が開始される見通しとなった。
 まず、イラクが核兵器や生物化学兵器といった大量破壊兵器を保有することは絶対に認めがたい。それを放棄させるには口頭での外交交渉では無理で、米国が25万人もの兵士をイラク周辺に派遣して軍事的圧力を加えるのは当然。こうした米国の努力は評価されなければならない。
 ただ、イラクが周辺諸国などに大量破壊兵器を使用する現実的な危険が迫っていない限り、私は「武力行使ではなく軍事的圧力を続けて解決してほしい」と願い、1月下旬に訪米した際にもホワイトハウス高官などに伝えた。
 そういう展開にならなかったことは残念だが、米国が攻撃に踏み切った場合、イラクは日本の同盟国ではないが、米国は最も重要な同盟国。憲法上の制約から集団的自衛権は行使できないが、現実的対応を真剣に考えなければならない。
 前出の訪米時に、私はダグラス・ファイス米国防次官とも会談したが、イラク攻撃時に日本に求める協力事項として、(1)軍事的協力(2)後方支援(3)戦後の復興プロジェクトへの協力---などを挙げた。米国側も(1)が実現不可能なことは承知しているため、(2)と(3)が具体的に期待しているものだろう。

同盟国として

 それから米国の同盟国である以上、日本がテロ攻撃を受ける可能性も考慮しなければならない。警察庁時代、テロ・ゲリラを取り締まる責任者をやった経験からいうと、警察庁や海上保安庁、公安調査庁などの治安当局に加え、厚生省や消防庁、防衛庁などが連携して、情報収集や警戒態勢を取るべきだ。

テロや北のドサクサ挑発には要警戒

 イラク攻撃のすきを付いて北朝鮮が挑発行為に出る危険もある。この警戒は当然だが、国民の生命と安全を守る視点から、北の弾道ミサイル「ノドン」を迎撃するシステム構築のための補正予算を早急に組むべき。アーミテージ米国務副長官とも話したが2兆円もあれば可能という。
 ところで、民主党の岡田克也幹事長が16日のテレビ番組で「米国に『戦争はやめろ』ということが(日本にとって)最大の株価対策だ」と語ったという。大量破壊兵器の拡散を防ぐために世界が血を流そうというときに、自国の株価維持を優先させるとは異常だ。日本や世界の人々の平和と幸せを願う政治家の言うべき発言ではない。猛省を促したい。

※無断転載を禁ず

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