夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【16】北には日本の立場を断固主張しなければ・・・
2003.04.24

北京で三カ国会議

 北朝鮮の核問題について話し合う、米国と中国、北朝鮮の三カ国協議がきょう23日、北京で開かれる。日本政府は「歓迎」の意向を示しているようだが、私は主権国家としての問題を強く感じた。
 米国にとっての懸念は、核爆弾製造につながる北朝鮮の核開発と米本土の一部に到達可能なテポドン2号(射程5000〜6500キロ)の問題だろうが、現時点で最も北朝鮮の脅威を受けているのは日本である。
 例えば、100発以上の弾道ミサイル「ノドン」(同1300キロ)が日本に照準を合わせているうえ、それに搭載可能な生物化学兵器の開発・保有の疑惑。新潟市の横田めぐみさんをはじめ、百人前後という日本人同朋が残虐非道な拉致事件に遭っていることなど…。
 こうなると、米中朝三カ国協議にあたり、日本は同盟国である米国に対して「わが国も協議に出席させてほしい。問題を一括解決すべきだ」と強く主張して当然だと思うが、小泉政権は全くしていない。それどころか、三カ国協議で何を焦点とすべきか、米国と綿密な擦り合わせすらしなかったようなのだ。
 相手が同盟国とはいえ、自国の安全保障や外交を米国に委ねてしまうのは主権国家としておかしい。ノドンや生物・化学兵器の破棄、拉致問題の解決もないまま、米国が経済援助への道筋をつけてきたらどうするのか? 歴代政権も日米安保に隠れてきた部分はあったが、北朝鮮の具体的脅威が明らかになったのは小泉政権であり、毅然(きぜん)として対応しなければならない。
 まず、日本が北朝鮮に対して持つ懸案事項をすべて明確にする。警察庁や外務省などが連携して、帰国した拉致被害者から事情を聴き、拉致事件の事実関係を全力で明らかにすることも必要だ。その上で、それぞれの懸案事項について、北朝鮮がどのような対応を取れば決着とするかを検討して、日本政府として北朝鮮に要求すべき中身を確定することが重要だ。
 米国は北朝鮮に対して、イラク戦争で世界中に見せつけた圧倒的優位な「軍事力」というカードを保持しているが、わが国も世界有数の「経済力」という強力なカードを持っている。日本政府として明確な対北朝鮮方針を固めれば、もっと強い姿勢が打ち出せるはずである。
 ともかく、北朝鮮問題については、米国と日本、韓国、中国、ロシアの五カ国が水も漏らさぬ体制を組んで対応すべきだ。小泉純一郎首相はブッシュ大統領と強い信頼関係を築いているそうだから、日米関係が従属関係と揶揄(やゆ)されないためにも、日本の立場を断固として主張しなければならない。

※無断転載を禁ず

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