夕刊フジ連載
イラクへ自衛隊を派遣するためのイラク復興支援新法(仮称)を今国会中に成立させるためーと称して、政府与党内から今月18日までの国会会期を延長すべきといった声が聞こえる。
延長して思い切った補正予算を組んで、悲劇的な国民生活を救うための景気対策に取り組むというなら私も大いに賛成する。
だが、現在のイラクは米英両軍の占領行政下にあり、今後、国連をはじめとして、どのような国際的枠組みの中で復興が進められるのかも未定のうえ、イラク国民による政権樹立の概略もスケジュールも不明だ。
最近でも、米兵が何者かに襲撃されるなど治安も悪く、日本の自衛隊などが人的支援に乗り出した場合、現在の武器使用基準で安全が確保できるのかなど問題は山積している。
具体的な復興計画もできておらず、正式な要請も来ていない段階で新法成立に乗り出すなど、まさに雲をつかむような話。自民党内でも「別の党利党略があるのではないか?」といった見方が浮上している。
先日、小泉純一郎首相の後見人的立場にある森喜朗前首相が「(国会を閉じて)政治的空白を作ると(9月の自民党総裁選に向けて)小泉包囲網ができる。国会延長すべきだ」と漏らしていたというが、案外これが本音ではないのか?
国際貢献と共に国連改革を
日本が本気で国際社会において人的貢献をしていく覚悟なら、現在のわが国の不自然な立場を自ら変えていかなければならない。
第二次世界大戦が終わって60年近くになるが、国連憲章第五十三条にはいまだに敵国条項が残されており、国連予算の約20%を提供している日本が国連の敵国のまま規定されている。この規定撤廃に外務省が積極的に努力した形跡は見られない。
わが志帥会(江藤・亀井派)は先週、この敵国条項を外すよう、党や政府を通じて強く働きかけていくことで一致した。
また、米英仏ロ中の戦勝国五カ国が安全保障理事会の常任理事国として議決拒否権を持ち、他国と別格の立場で君臨している現状も見直すべきだ。
例えば、新たな常任理事国として、軍事力だけでなく経済力などで国際社会に貢献できる国を、地域代表として選出してはどうか。
ともかく、日本は国際貢献において必要以上に焦ることも負い目を感じることもない。堂々と正当な主張を続けていくべきなのだ。
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