夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【24】小泉政権は末期的症状!
2003.06.19

 小泉純一郎首相が青木幹雄参院幹事長らとの会合で、9月の自民党総裁選直後に内閣改造を断行するとの意向を示していたことが今週初めに発覚した。記者からこの事実を聞かされ、私は「ついにここまで来たか…」と思わざるを得なかった。まさに政権の末期的症状というしかない。

ポストで指示を集めるなんて冗談じゃない

 こんな姑息な手段で、本当に総裁選をクリアできると思っているのか?
 首相は政界の師匠である福田赳夫元首相や故中川一郎元農相が総裁選で無残な敗北を喫したのを間近で見ている。現時点で、地方の党員票の多くが反小泉であり、国会議員票でひっくり返せないのは分かっているはず。
 つまり、首相としては総裁選前にヤケクソ解散に打って出るか、反小泉勢力を分断して腰砕けにするしかないのだ。「総裁選後の内閣改造」というのは、反小泉勢力に対してエサを投げたつもりなのだろう。
 だが、最も重要であり必要なのは危機的状況の日本経済を立て直し、国民の暮らしを守るための「政策転換」である。一国の宰相として、惨憺(さんたん)たる状況にある実体経済を再建することだ。決して人事ではない。
 現在、財政諮問会議で平成16年度も超緊縮予算を継続する方針が固まりつつあるが、これでは未曾有の不況は食い止められない。本気で国民生活を守るつもりなら、延長国会で思い切った景気対策を打つべきなのだ。
 内閣改造のポストで総裁再選への支持を集めようなんて、国会議員を完全にナメている。野中広務元幹事長が「われわれはそんなアメ玉に今さら乗る人間ではない」と喝破したように、それで動くような情けない議員は少ない。

行政の継続性を完全に無視

 今年4月、大島理森前農水相の後任人事で、首相の就任要請を四人の議員がことごとく断ったことを忘れたのか? アメ玉にホイホイと食らいつくような議員は、永田町ではいじましく思われ、軽蔑されるのである。
 大体、3カ月前から閣僚のクビを切ることを事実上通告するなど、こんなバカげた話はない。行政の継続性を完全に無視している。これだから首相自身が打破を訴えていた官僚政治を、さらに跋扈(ばっこ)させる結果となっている。
 米国の忠犬ポチのフリをして政権を維持してきた首相だが、もう限界だ。
 私は、橋本派や堀内派の幹部らと連絡を取り合ったが、「(ポストで支持を集めるなど)冗談じゃない!」というのが一貫した反応だった。完全な逆バネになっている。
 われわれは国民生活を守るため、総裁選で一致団結して戦う覚悟を固めた。

※無断転載を禁ず

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