夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【25】慎太郎治安専門副知事登用大英断
2003.06.26

 小学生の子供までが犠牲となった福岡市の一家殺害事件でも分かるように、わが国では凶悪犯罪が激増している。かつて60%を超えていた検挙率も最近では20%を切った。死刑制度の存在に抑止力がないのは明らかだろう。
 こうした中、東京都の石原慎太郎知事が「都民の不安に応える」として、治安対策を専門に担当する副知事として、竹花豊・前広島県警本部長を登用する方針を固めたのは高く評価すべきだ。
 竹花氏は暴走族対策などでらつ腕を奮った人物であり、石原氏と警察庁が選び抜いた人事といえる。今後、警視庁と連携しながら、治安の危機におびえる都民の不安解消に取り組んでほしい。
 凶悪犯罪が激増した一因としては、社会風潮の変化が挙げられる。
 自身の金銭的利益を追及するために、手段を選ばない人間が増加した。昔の強盗は金を奪おうとして騒がれたら仕方なく殺したが、最近では殺してからゆっくり金を盗むという。冷血な利己主義者がのさばっている。
 また、首相が推し進める構造改革の下で、極端な貧富の差が現出してしまった。追い詰められた人々が厳しい状況から希望を持ってはい上がれるチャンスは極めて限られてきている。巷に絶望が広がっている。
 社会の連帯感の消失も大きい。
 捜査上、最も有効なはずの聞き込みも「隣は何をする人ぞ」といわれる希薄な地域社会のため困難を極めている。東京や大阪では捜査官の多くが所轄内には住めない。彼らが電車に1、2時間も揺られて通勤していたら所轄の人々との密着度も低くなり、貴重な情報も入ってこない。

凶悪犯罪放置すれば日本崩壊

 凶悪犯罪の発生を抑えるためには、「他人を思いやり、いたわり合う」という日本人の矜持(きょうじ)、「みんなで助け合って幸せになろう」という日本人の美しい魂を取り戻すしかない。これらは学校や町内会、婦人会、子供会といった地域社会の連帯を深め、人間同士の触れ合いの中で自然に身につけるしかないだろう。
 技術的な話でいえば、外国人犯罪者の取り締まりを強化すべき。優良な外国人が合法的に日本で働くことは大歓迎だが、密入国した不良外国人の犯罪は厳しく取り締まって当然。警察や検察、入国管理局の総力を結集するような特別な捜査体制を取るべきだ。
 加えて、広域犯罪に対応するために都道府県別の警察組織だけでなく、米FBI方式の全国ネットの捜査体制を構築すべきだ。小手先の人員増加や装備各銃では対応できない。組織法や権限法も含めた全面的見直しに取りかかるべきだ。
 ともかく、自分の欲求を満たすためなら何をしても良いーといった風潮は絶対認められない。これを放置すれば日本は足元から崩れてしまう。

※無断転載を禁ず

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