夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【26】戦い本番は今月末だ
2003.07.03

 平成14年度の税収が見積もりを約5000億円も下回った。これで税収不足は2年連続となり、結果として15年3月末現在の国の借金(債務残高=国債や借入金など)は約668兆円まで膨張。過去最高を更新した。
 「財政再建」を掲げて2年前に就任した小泉純一郎首相だが、看板とは正反対の惨状となっている。「民」が景気悪化に苦しんでいる中、「官」までが緊縮財政に突き進み、日本経済をデフレ・スパイラルに突入させたのだから、ある意味当然といえる。来年はさらにひどくなると断言していいだろう。
 東京株式市場の平均株価は一時的に良くなっているが、好調な米株式市場に引っ張られているだけで、実体経済は極めて悪い。
 上場企業の海外脱出は10%前後も増加しており、下請けや孫請け企業の倒産ラッシュは続いている。金融機関による中小零細企業への融資も事実上ストップしたままの状態。期待されたニュービジネスも生まれず、経済空洞化のスピードは加速する一方だ。
 いまや整理回収機構(RCC)や産業再生機構はハゲタカ外資たちの「バーゲン会場」と化している。先人たちが苦労して育ててきた力のある企業が、驚くような安価でたたき売られている。これらを転売すれば莫大(ばくだい)な利益が出るため、ハゲタカ外資たちは都内の超高級マンションを占拠されている。
 メガバンクをはじめとする金融機関もハゲタカ外資の影響下に入っており、貴重なわが国の金融資産も吸い尽されつつある。まさに今、わが国の経済は溶けて無くなろうとしているのである。
 にもかかわらず、首相は従来の間違った経済政策を続けようとしている。首相は英国のサッチャー改革を手本にしているようだが、その結果、英国は自国企業の多くをハゲタカ外資に乗っ取られてしまった。ハゲタカにエサをやるような政策の継続は、国民生活を守る観点からも容認できるものではない。
 党内の一部には「首相が政策転換すれば…」などと総裁選での支援をチラつかせる意見もあるが、首相がトップである経済財政諮問会議は「来年度も緊縮経済を続ける」と決めており、政策転換はあり得ない。政策や理念抜きでのすり寄りは「人事目当ての談合」と非難されるだけだ。
 9月の自民党総裁選に向けて、日本経済を再生させようという有志議員たちはがっちりとスクラムを組んでいく。若手議員からも「小泉構造改革の限界は明らかだ」という声が上がってきた。国民の方々もそろそろ目を覚ましてほしい。戦いの本番は、今月末の国会閉会後からだ。

※無断転載を禁ず

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