夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【28】首相の政策転換など「夢物語」
2003.07.17

目を覚ませ!

 最近、自民党内から「小泉首相が大胆な政策転換を行い、それに沿った内閣改造や党人事を行うならば総裁選で支持する」といった意見が聞かれる。私は、こうした考え方について「目を覚ませ!
 首相の政策転換に期待していると、日本を滅ぼしかねない」と警鐘を鳴らしている。
 2年前の総裁選で、私は首相と「緊急経済対策を速やかに実行する」との政策協定を結び、決選投票で首相の支持に回った。首相は所信表明演説でも「今、最も重要な課題は経済を再生させることだ」と語ったが、現実にはまったく無視して、デフレ不況下での超緊縮財政路線を突き進んだ。
 その後も、私は何度も首相官邸に足を運び、「国民の生活を守るために、政策協定を守って政策転換してくれ」と訴えたが、首相は聞く耳を持たなかった。
 つい先日も、首相が議長を務める経済財政諮問会議は「平成16年度も緊縮予算を続ける」と決定した。また、首相が月刊誌「中央公論」のインタビューで語った内容を聞いても、2年前と政策はほとんど同じだった。
 こうした現状では「首相が政策転換すれば…」という前提がまったく成立し得ない夢物語であることは確実だ。あれだけ堂々と中央公論に語っておきながら、1カ月もたたないうちに180度違った政策を取れるはずがない。
 それでも首相の政策転換を期待するというなら、そういう政治家は最終的には自らの政治的立場を転換しなければならなくなり、政治家として最も重要な政策や姿勢を問われることになる。
 これが選挙に脅える若手政治家が「小泉首相なら選挙に勝てる」と錯覚してやっているならまだ分かるが、中には、当選回数を重ねて国家や党に責任を持つ立場の政治家もいる。ごく一部だが、少々情けない。
 最近、株価がやや上がっているが、首相就任時に14,000円台だったのが7,000円台まで下落して、やっと9,700円台(15日終値)に戻しただけ。失業率増加や倒産件数、自殺者数、自己破産者数、税収減、国債格下げ、犯罪犯罪数などは、軒並み「過去最悪」を記録している。
 このままの小泉政策を続ければ、日本は完全に終わりになる。

プロの政治を

 ルックスだけで歌の下手なアイドル歌手が人気を集めるように、政策抜きで自民党総裁が決まるようでは政権政党の看板が泣く。われわれはプロの政治家であり、妙なアマチュアリズムに流されてはならない。
 そういう思いを込めて、先日、自著「ニッポン劇的大改造」(扶桑社)を上梓した。中曽根康弘元首相からは「亀井君の強さと優しさが両方出ている」というご感想をいただいた。お時間があればご一読いただきたい。

※無断転載を禁ず

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