夕刊フジ連載
通常国会が28日に閉会した。イラク復興支援特別措置法を成立させるために40日間も延長したが、結局、同国の厳しい治安情勢下では使えそうにない欠陥法律を作ったといえそうだ。
このまま自衛隊を派遣すればフセイン政権残党の標的になりかねないが、相変わらず、自衛隊には個人の正当防衛と緊急避難しか許されていない。誇り高き彼らを胸を張って送り出すためにも、派遣部隊の統制が取れた中で、隊員の安全が守れる権限と装備を整えてやるべきだった。
先週の党首討論で、小泉純一郎首相は自衛隊を派遣するとしている「非戦闘地域」について、「いま私に聞かれても、どこが戦闘地域か非戦闘地域か分かるわけない」と公言していたが、これほどヒドイ首相答弁は聞いたことがない。
本来なら、この延長国会では苦境に立たされた国民生活を守るための景気対策と、北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」を迎撃するシステム構築のための補正予算を組むべきだった。イラク新法だけをゴリ押ししたところに、国民無視・米国追随といえる小泉内閣の本質が垣間見える。
最近も首相は、丸ビルや六本木ヒルズに人々が殺到している状況を見て、「景気は悪くない」と言い放ったそうだが、商店街の大半が倒産・廃業に追い込まれ、閉じたシャッターだけが連なる地方経済の現実を見たことがあるのか?
卒業しても就職できない若者が遊民化しつつある現実を知っているのか?
大好きな歌舞伎と同じように、3万人を超える自殺者も劇中の一コマぐらいにしか思っていないのではないか?
統計上の数字だけで国民を見てはならない。一人一人に汗と涙にまみれた人生があり、心を通わせる大切な家族や友人がいるのだ。首相には決定的に現実感や温かさが欠けているのである。
幸いなことに、9月20日には自民党総裁選がある。溶けて無くなりそうな日本を建て直すための最大・最高のチャンスだ。
小泉終焉の手の内は…
一部党内からは「政策転換すれば首相を支持する」という声も聞こえるが、すでに首相が議長を務める経済財政諮問会議で「来年度も緊縮予算で行く」と決定しているだけに、政策転換はあり得ない。
つまり、「政策転換もできず、国民生活を破壊するような首相は担げない」という、逆説的な宣戦布告といえる。
現段階で、初めから反小泉勢力で統一候補を立てて戦う方法と、第1回投票はそれぞれ戦い、決選投票で反小泉勢力を結束させる方法があるが、まだ詳しい手の内は明かさないことにする。ともかく、党内同志たちとじっくり話し合って、小泉内閣を確実に終わらせる方策を決めようと考えている。
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