夕刊フジ連載

一覧へ戻る

亀井静香のこれから勝負だ!
【33】「政治とカネ」難しさ実感
2003.08.21

心からおわび

 私の資金管理団体に、山口組系暴力団のヤミ金融事件で出資法違反(高金利)容疑で逮捕された元暴力団幹部の会社役員から、平成7年から14年にかけて六回、計60万円の政治献金があったことが分かった。
 先週末の新聞報道などでご存じの方もおられると思うが、この献金は私の事務所の人間が第三者からの紹介で献金の申し出を受け、政治資金規正法上の献金として処理していた。当然、この会社役員が元暴力団幹部だとはまったく知らず、将来、犯罪にかかわることも予見できなかった。
 隠された裏の素性が分からなかったとはいえ、ヤミ金融事件では多くの庶民の方々が被害を受けている。結果的にそんな人物から献金を受けていたことは誠に申し訳なく、心からおわびを申し上げたい。問題の献金は、直ちに返金の措置を取りました。
 ただ、私自身はこの会社役員とは一切の面識も仕事上の関係もなく、献金以外にパーティー券などの資金提供がないことは断言しておきたい。紹介者を信頼して、他の数多くの献金と同じく、あくまで「善意の献金」と信じていた。
 私は警察官時代、埼玉県警捜査二課課長などとして、高利金融によるひどい被害実態を見聞きしてきた。また、長引く不況で会社経営に行き詰まり、借金を抱えて自ら命を絶った友人知人もいる。相手がヤミ金融の関係者と知って献金を受けるわけがない。それほど落ちぶれてはいない。
 今回の一件で「政治とカネ」の難しさを改めて実感した。
 お国のために政治活動を続けていくには、2,000万円少々の議員歳費だけではとても無理だ。政策秘書と公設秘書二人の給与は国から支給されるが、それ以外に、私には東京と地元・広島に14人の秘書がいる。この人件費だけで年間1億円以上は必要となる。
 その他、事務所家賃や文書通信費、交通費、印刷費、活動費など、どうしても億単位の経費がかかってしまう。これは他の国会議員もほぼ同じで、法律の範囲内で善意の献金を集めざるを得ないのである。

身元確認は不可能

 法律が一人あたりの献金額の上限を定めているため、私は広く浅く、全国の方々に何千口もの献金をお願いしている。できるだけ紹介者を通すようにしているが、現実問題として身元確認は不可能に近い。暴力団員や元暴力団員のリストなどは存在せず、警察はその手の問い合わせには応じてくれない。
 このあたりに法律や仕組みの見直しが必要かもしれない。
 最後に開き直るつもりはないが、今回の献金に絡めて、私の政治家としての基本姿勢や全人格まで否定するような報道があったことは極めて残念だ。自民党総裁選や総選挙を前にして、何らかの政治的意図があるのかと考えてしまう。

※無断転載を禁ず

一覧へ戻る

TOPに戻る

バックナンバー