夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【40】ゴチャまぜ新・民主に何ができる
2003.10.09

首相も具体策提示なし

 菅直人、小沢一郎両氏が手を組んだ新民主党が5日、合併大会を開いた。新聞やテレビでも取り上げられていたが、私はこの民主党と旧自由党の合併は、政治理念や政策など関係なく権力奪取のためだけに結集した野合であり、未来への力を失った。日本政界を象徴する出来事だと考えている。
 菅氏は自社さ連立政権で厚相を務めた人物であり、小沢氏も自民党出身で離党後も自自公連立政権をつくった中心的存在。二人ともわが自民党と連立政権を組んで、日本の政治に責任を持ったことがある。
 政権を担当していたときにこそ、21世紀の国家戦略をもとにした、日本のあり方や、国民生活の将来像を構築していけばよかったのに、いつの間にか政権を預かる責任を放棄し、自民党と対峙する政治集団のリーダーとなっていた。
 新民主党のメンバーを眺めてみればいい。核兵器保有を訴えるような過激な議員から、少し前まで自衛隊違憲を主張していた議員までゴチャまぜだ。これで一体、どんな社会、どんな国家を目指すというのか。
 「次期総選挙はマニフェスト(=政権綱領)対決だ」などと必死にあおっているが、意見のまったく違う議員が野合した政党が、外交や内政でどうやって国民に責任を持った政策が提示できるのか。たとえ提示できたとしても、それは選挙で票を上積みするためだけの、口先だけの選挙公約でしかない。まさに、国民を愚弄した新政党の誕生というしかない。
 こうした時にこそ、自民党は国民の生命と安全に責任を持つ政権政党として、将来の国家観や国民生活の理想像を示しながら、それに到達するための具体的政策を提示しなければならない。
 ところが、小泉純一郎首相は以前から新民主党とソックリの経済政策を並べており、新民主党に対するアンチテーゼとはなりにくい。国民から見ると「一体、どこが違うのか?」と困惑してしまうのではないか。
 こうなると、有権者は具体的政策ではなく、地縁や血縁、外見やパフォーマンスなどで候補者を選択することになりかねない。日本の政治は選挙後も中長期的視点に立たず、単なる権力を得るための離合集散を繰り返すのではないか。私はわが国の政治の危機をヒシヒシと感じている。

※無断転載を禁ず

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