夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【42】自衛隊は現地調査してからイラク派遣すべきだ
2003.10.23

非戦闘地域ない

 先週、米国のブッシュ大統領が来日された。  東京・元赤坂の迎賓館で行われた首脳会談で、小泉純一郎首相はイラク復興に関して、4年間で50億ドル(約5,500億円)の資金拠出や自衛隊の早期派遣を念頭に「復興人道支援で役割をきちんと果たす」との考えを表明した。
 まず、年内にも100人から150人規模の先遣隊を派遣。その後、イラク南部ナシリア近郊に医療や給水、警備などの部隊を合わせて約600人の自衛隊を派遣する方針だという。
 私個人としては、現在のイラクは治安悪化が著しく、とても非戦闘地域があるとは思えないが、首相が「自衛隊を派遣する」と決断した以上、イラク復興支援特別措置法に基づき、事前に徹底的な現地調査をしていただきたい。
 一部報道では「年内派遣に向けた時間的余裕が乏しいため、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づく自衛隊海外派遣では安全確認などのため行われる、自衛隊員による『専門調査団』の現地調査をしないまま基本計画を策定する」との政府方針が固められたというが、それはおかしい。
 米国は日本にとって最重要の同盟国とはいえ、わが国は法治国家であり、憲法やイラク復興支援特別措置法の枠組みを越えての自衛隊派遣はできない。国民が納得できる調査結果を公表した上で派遣すべきだ。
 カタールの衛星放送アルジャジーラは18日、国際的テロ組織アル・カイーダの指導者、ウサマ・ビンラーディンとされる人物の音声テープを放送した。この中で、この人物は日本を名指しして「この不当な戦争に参加するすべての国々に、しかるべき時期と場所を選んで報復を行う」と宣言をしたという。
 また、イラクで相次ぐ米英軍へのテロ行為について、「旧フセイン政権の残存勢力やテロ組織による攻撃だけでなく、イラク国民の米英軍の占領行政に対するレジスタンス(=抵抗運動)といった側面もある」との分析もある。
 音声テープの真偽はともかく、もし、適正な現地調査をしないまま自衛隊を派遣すれば、米英軍と同じ”敵性部隊”と見なされる可能性があり、派遣隊員の生命や身体に危険が及ぶことも十分考えられるのだ。

大義は復興支援

 国民の方々にも思い出してほしいが、イラク復興支援特別措置法の大義とは「イラクの復興を支援すること」であり、決して、米英軍の軍事行動を支援するものではない。この大前提をきっちり見直していくべきではないか。

※無断転載を禁ず

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