夕刊フジ連載
貴重な議席失い
総選挙が終わった。自民党は解散時勢力(247議席)を下回り、過半数(241議席)も確保できない237議席(追加公認含まず)となった。
国民の多くが長引く不況に苦しんでおり、総選挙などやるべき状況じゃないときに解散をした報いだ。民主党を躍進させただけの選挙であり、その代わりに自民党は貴重な人材と議席を失った。
小泉純一郎首相は、自分自身と安倍晋三幹事長の人気が高かったため、「これはチャンスだ!」と考えたのだろうが、正直言って「小泉・安倍」人気は上滑りしていた。完全な判断ミスというしかない。
首相や幹事長は「与党3党で絶対安定多数を確保しており責任はない」と語っていたが、今回のことについて厳しい反省をしていただかなければならない。
政府は自衛隊をイラクに派遣する準備を進めているようだが、この選挙戦を戦ってみて、米国の要請通りに治安悪化が進むイラクに自衛隊を派遣することに、国民の多くが疑問や不安を感じていることを実感した。
連立与党の責任ある立場として、イラクの的確な情勢を把握して、冷静かつ適切な判断を下すべきである。
経済政策についてもそうだ。選挙戦を通じて国民が示した意思は「景気対策に十分に取り組んでほしい」ということである。こうした声を謙虚に受け止めて、来年度予算編成に反映していただきたい。
今回の総選挙では、民主党の地力はあまり感じられなかった。あくまで、自民党に対する批判票が向こうに流れたという感触だ。ただ、このままでは来年夏の参院選は極めて厳しいといわざるを得ない。
小泉改革によって、自民党議員の後援会や支持団体はひどく傷ついており、機能不全といえる状態に陥っている。目先の支持率に惑わされて、楽観的な期待感だけで選挙戦に突入すれば大変なことになる。
どうしたら国民の期待に応える本物の改革政策を断行して、来るべき参院選で勝つことができるのか。そのために党組織をどのように再構築していくべきか。真剣に考えなければならない。
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