夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【47】年金財源には間接税を充てよう
2003.11.27

 今回は年金制度改革について書きたい。急速な少子高齢化が進むなか、年金問題は国民最大の関心事といえる。
 私の高齢者福祉に関する基本的な考え方は、すべての高齢者が「この国に生まれてよかった」「日本人になってよかった」と思える国にすることだ。そのための最低限の生活基盤を、国が「年金」という形で保証するのである。
 厚生労働省は先日、次のような年金制度改革案を発表した。
 (1)厚生年金の保険料率(現行・年収の13.58%)を来年から毎年引き上げ、34年度以降は年収の20%で固定する。
 (2)労働力人口の減少や平均余命の伸びに対応して給付水準を抑制する方式を導入。約140兆円ある積立金も取り崩し、将来的に現役世代の手取り年収の50%程度を確保する。
 これに対し、保険料を労使折半している財界は「保険料率の引き上げは企業の体力を弱める」「譲歩しても16%が限度」などと反発。
 自民党厚労族も「(積立金取り崩しという)年金制度の根幹に関わる大転換をするなら、国民に説明しないと騙し討ちになる」などと異議申立てしている。

抜本的な改革を

 激しい論戦が戦わされるほどの抜本的改革が必要なのは、過去に給付水準を保険料の伸び以上に引き上げたり、年金資金運用の失敗、所管の特殊法人によるグリーンピア事業の失敗などで、年金財政のバランスが大きく崩れているため。
 小泉純一郎首相をはじめ、歴代厚相や厚生官僚らの責任は重大なのだ。
 この責任はいずれ明確にすべきだが、私は事ここに至っては年金財源に間接税を充てる以外にはないと考えている。年金だけでなく、介護や高齢者医療など、すべての高齢者福祉の財源を賄うために、間接税を福祉目的税化するのである。

高級品や贅沢品を高くすればいい

 当然、食料品などの生活必需品の税率は低く抑える一方、高級品や贅沢品などは高くすればいい。こうすれば、「間接税は低所得者ほどキツイ」ということもなくなり、国民年金の不払いにも対応できる。
 「保険料」「掛け金」などと言っても、実質的には形を変えた税金である。国民の抵抗感を薄めるようなやり方は長続きしない。これ以上、保険料負担を上げると社会の活力を奪ってしまう。小手先ではない、抜本的改革が必要なのだ。

※無断転載を禁ず

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