夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【52】「ラストサムライの感性で 米は「地球的責任」自覚を
2004.01.08

 新年を迎えて、私はこの激動する世の中で、日本と世界中の人々がともに、より明るい方向に進むことを強く願った。  ただ、現実世界は依然として、国家や民族、宗教間の憎悪が衝突している。イラク、パレスチナ、チェチェン・・・。その惨禍は想像を絶する。お互いに何とか自制して、共生の道を粘り強く模索していく努力が重要となってきている。
 特に、世界の軍事的超大国であり、経済力でも他国を圧倒し、国際基軸通貨ドルを持つ米国には、その全地球的責任や歴史的責任を強く自覚してほしい。世界平和や経済の安定成長、文化の発展交流など、すべての分野での責任をまっとうしてほしい。
 私は昨年末、話題の映画「ラストサムライ」を見たが、あれが米国人による製作であることに強い感動と感銘を受けた。  米国建国の過程で、ネイティブ・アメリカンという先住民族を殺戮し、文化を破壊した自責の念をベースにしながら、日本民族が文明開化の中で己を見失い、大切な精神を捨て去っていくことへの警鐘を、西郷南洲をモデルにした侍を通して描いていた。実に、素晴らしい映画だった。
 私は、米国人の持つあのような感性が生き生きと飛翔すれば、「世界は救われるのではないか」と感じた。米国の世界戦略が、他国や他民族、他宗教の尊重と配慮を持って展開されれば、全人類が幸せになれるのではないだろうか。
 日本についていうと、映画で明治天皇が「美しい日本人の魂を取り戻し、世界と協調していくよう転換しなければ」と語っておられたが、古き良きものを大切にしながら、新しいものも積極的に取り込まなければならない。
 それにしても、現実世界は映画とは違う。
 世界では弱肉強食が一層進み、先進国と発展途上国との経済格差、文化格差は開く一方といえる。日本でも小泉純一郎首相の経済縮小路線のために、地方経済や中小零細企業は疲弊してしまい、いまや活力の炎が消えつつある。
 私は「人命を守り、世界の平和を維持すること」「国民が物心共に豊かな美しい日本を感じることのできる国づくり」を目指して、今年も身命を賭して邁進する決意を新たにした。

※無断転載を禁ず

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