夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【54】米中二極化を懸念 日本も積極的に主張していくべき
2004.01.22

APPF総会で

 10日から15日まで、第12回アジア太平洋議員フォーラム(APPF)総会出席のため、北京を訪問してきた。米国や中国、日本、カナダなど22カ国の国会議員が参加して、政治や経済、テロ対策などについて幅広く話し合った。
 今回、これまで同フォーラム会長を務めていた中曽根康弘元首相が名誉会長に就任されたが、各国議員が元首相を深く尊敬して「アジア太平洋の父」のように慕っている姿を目の当たりにした。
 そういう方の議員バッジを外させたことが、国益上の大きな損害であったことを改めて証明するような場だった。  フォーラムでは27の決議が行われた。北朝鮮問題もその一つだったが、主催国である中国が北朝鮮に対して非常に神経を使っており、決議文に「拉致」という言葉を盛り込むことを拒んだ。
 中曽根元首相をはじめ、われわれ日本議員団は強く主張したが、決議は全会一致が原則のため、「あらゆる懸念に対処する」「日朝平壌宣言を実行する」ということで妥協せざるを得なかった。
 今回のフォーラムで強く感じたのは、拉致問題については各国間の温度差が大きいということ。中国が北朝鮮に配慮するだけでなく、韓国も非常に気を使っていた。現在の韓国政権がこれまでと違っていることを痛感した。また、国際テロとの戦いについて協議しながら、各国議員ともイラクやアフガニスタンでの米国の行動には触れなかった。イラクの「イ」の字も、アフガニスタンの「ア」の字も出ず、「評価する」とも「しない」とも言わないのだ。
 同フォーラムが(米国の対テロ戦争とは距離を置く中国の)北京で開催されたことも関係しているとは思うが、アジア太平洋地域の意外な空気を感じた。大変勉強になった。
 私は今後、同地域で米国と中国の二大国が軸となるだけでなく、日本としてもその力学に積極的に加わっていく努力をすべきだと思う。そうしなければ、米中両国で二極化していく懸念をヒシヒシと感じた。
 今回の訪中では、呉邦国・中国全国人民代表大会常務委員長とも会談し、歴史問題や中国の経済成長などについて意見交換した。
 私は「日中両国は何千年もの歴史を持ってきた。過去の負の歴史は発展的に解決すべきだ」「戦後、日本も経済中心で突き進んできた。その結果、心の荒廃の問題が出てきている。ぜひ、他山の石としてほしい」と伝えてきた。

※無断転載を禁ず

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