夕刊フジ連載
苦渋の採決欠席
私は先日、イラク復興支援特別措置法に基づき、自衛隊をイラクに派遣する国会承認案の衆院本会議での採決を欠席した。
これは志師会総会でも事前に「政治家の信条、良心に従って行動する」と述べていたように、自らの政治信念と自民党員という立場の狭間で、苦渋に苦渋を重ねて下した結論だ。
基本的に私は、イラク復興のために自衛隊が派遣されることに何ら反対しない。イラク国民の未来のために、日本はあらゆる努力をすべきだと考えており、そのために自衛隊が必要ならば行くべきだと考えている。
問題は、各国軍隊に対する襲撃事件が相次ぎ、犠牲者が多発している現在の同国が、イラク特措法で想定されているような状況下にあり、自衛隊が安全かつ円滑に復興活動を行える状況にあるか否かだ。
派遣先のサマワ市評議会が存在するのかしないのかさえも不明確で、復興の主体すら定かでない状況では、私は「運用」という面から現時点での派遣には賛成できなかった。
米英軍と同等に
もしこうした状況下でも、同盟国である米国への軍事サポートが国益上必要不可欠というならば、政府は集団的自衛権に対する見解を変えるべきだ。
自衛隊員の生命と安全を守り、米国との同盟関係を維持・発展させるためにも、米英軍と同等の権限と装備を与えて送り出すべきである。
法的根拠があいまいな中で、生身の自衛隊員をイラクに派遣することは政治家として遺憾極まりない。本会議の欠席後、私のHPには約百通の意見が寄せられているが、二、三通を除いて圧倒的に賛成意見である。
ただ、派遣が承認された以上、私は自衛隊員全員が無事に任務にあたり、イラクの復興の尽くされることを心から願っている。
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