夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【57】恩あるフジモリ氏を応援しなくては
2004.02.19

大統領選再挑戦

 先日、ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領の故郷・熊本で、フジモリ氏を激励する会があり、東京都の石原慎太郎知事らとともに出席してきた。
 フジモリ氏は約1000人の聴衆を前に、「ペルーでは大統領は命がけの仕事。今の時代、国の諸問題を解決するためには平和の革命が必要だ」と発言。
 そのうえで、「リーダーには不可能なことに挑戦する勇気、自分で決めて行動していく指導力が大切。ペルーに 帰ったら『殺される』といわれるが、私はやる!」といい、2006年のペルー大統領選に出馬する意向を表明した。
 フジモリ氏がペルーを追われて、日本に滞在して3年になる。
 一部の女性経営者らが彼を励まし、再起に向けた支援を行っているが、日本人全体としては彼の境遇に対しては極めて冷ややかだ。こうした日本人の心のあり方は遺憾としかいいようがない。
 私は別にフジモリ氏の出世物語を礼賛しているわけではない。
 大統領時代にペルー国民の幸せに貢献しただけでなく、96年に発生したペルーの日本大使公邸占領事件では、日本政府が事件解決の有効策を示せない中で、国家の威信をかけてテロリストに毅然と立ち向かい、人質全員を無事に救出したことはいまだに記憶に新しい。
 彼はテロリストに完全勝利した世界でも数少ないリーダーであるだけでなく、日本にとっては、感謝を忘れることができない人物なのだ。
 もちろん、大統領復帰はペルー国民が決めるべきことだが、深い恩があるフジモリ氏に対して、日本人がさまざまな形でサポートすることを放棄するならば、日本古来の「恩には恩で報いる」「困っている人は助ける」というサムライ精神を失ったことになるのではないか。これでは世界から指弾されても仕方ない。
 フジモリ氏を励まそうという熊本の熱気が、日本全国に広がることを心から期待している。

「テロリストに勝った」リーダー

※無断転載を禁ず

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