夕刊フジ連載

一覧へ戻る

亀井静香のこれから勝負だ!
【62】テロ抑止には国民全員の危機感重要
2004.03.25

首相に直言した

 先週に続いて、わが国のテロ対策について書きたい。
 昨年来、米国主導のイラク戦争や戦後統治に協力する国々に対し、ウサマ・ビンラーディン率いる国際テロ組織「アル・カイーダ」系の組織などが、何度かテロ警告を行っている。
 日本をはじめ、英国やスペイン、イタリアなどが名指しされているが、この 中で無傷に近いのは日本だけ。アル・カイーダが標的を外さないことを考えると、今後、日本絡みのテロ攻撃が行われる可能性は極めて高いというしかない。
 私は先日、警察庁と国土交通省の担当者を呼んで、テロ対策の現状について事情を聴いてみた。
 それぞれ懸命な努力を続けていることは理解できたが、確信犯のテロリストが無差別テロを仕掛けた場合、とても役所だけで対応できるものではない。国民全員の危機感を伴った協力がないと無理だ。
 そこで先週木曜日、私は久しぶりに首相官邸を訪ねて、小泉純一郎首相にテロ対策の重要性について訴えてきた。
 警察庁警備局時代、テロやゲリラ事件の統括責任者として、三菱重工ビル爆破事件や土田警視庁警務部長宅小包爆弾事件、ツリー爆弾事件、日本赤軍テルアビブ空港乱射事件などを陣頭指揮した経験を話しながら、「首相自ら非常事態宣言を発して、国民を巻き込んだ警戒態勢を取るべきだ」と申し入れた。
 爆弾は中学生レベルの理科の知識があれば簡単に作れる。材料の入手も難しくない。近隣住人による「無人のアパートに深夜に出入りがある」「不審な物音がする」といった通報が犯人逮捕に結びついたケースは多いのだ。
 首相は「確かにテロ対策は重要だ」と納得していた。テロの一番の抑止力は国民全員が緊張感を持つこと。早急に警戒態勢を取ることを期待したい。

復讐の連鎖いつまでも

 こうしたなか、パレスチナ自治区ガザで二十二日朝、イスラム原理主義組織ハマスの創始者、アハマド・ヤシン師が、イスラエル軍武装ヘリのミサイル攻撃を受けて死亡した。
 ハマスはイスラエルへの徹底報復を表明したが、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラやアル・カイーダ系組織も報復テロを警告している。いつまで、「目には目を、歯には歯を」の復讐の連鎖を続けるつもりなのか。
 イスラエルやイラクでの混乱が引き金になって、世界中にテロが拡散することだけは避けなければならない。

※無断転載を禁ず

一覧へ戻る

TOPに戻る

バックナンバー