夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【68】年金財源に間接税を
2004.05.13

医療・介護・税と一体で改革

 年金制度改革法案が11日に衆院を通過したが、法案の中身よりも現職閣僚や国会議員らの国民年金未納問題が取りざたされ、政治的な大混乱となっている。
 私は年金未納が意図的に行われたとは思えない。制度上の複雑さがもたらした過失だと思うが、国民に負担増を求める以上、法案の提出・審議の前に保険料の納付状況について、事前に整理しておくべきであった。
 今回の法案は、年金財政の破綻(はたん)を当面避ける効果はあるが、わが国の社会保障制度を国民にとって長期的に安心できるものに改革するものではない。
 昨年出版した「繁栄のシナリオ」(中経出版)にも書いたが、私は日本に生まれた国民がどんな境遇にあっても、ある一定レベルの生活基盤が国家から保証される「福祉ミニマム」を設定したうえで、年金と高齢者医療、介護、税を一体的に改革すべきだと考えている。
 「保険料」や「掛け金」と言われると国民の抵抗感は少ないが、実質的に年金保険料は税金と何ら変わらない。これ以上、保険料負担を上げていく一方で、給付水準を引き下げると、日本社会の活力を奪ってしまう。
 高齢者医療や介護の分野においても、本来介護の必要のない人までがヘルパーを頼んで、自治体などの財政を圧迫している一方、もっと国家や社会からの援助を必要としながら、その恩恵を受けられない人もいる。
 今こそ、国民に分かりやすい抜本的改革を実行すべきなのだ。
 国家と国民の関係を複雑にすることは、国家への国民の帰属意識を希薄にする可能性があるだけでなく、国民に対する国家の役割を不明確にする可能性がある。現に、日本はそうなりつつあるのではないか。
 私はここに至っては年金財源に間接税を充てる以外にないと考えている。年金だけでなく、高齢者医療や介護など、すべての高齢者福祉の財源を賄うために、間接税を福祉目的税化するのである。

福祉目的税化し

私の高齢者福祉に関する基本的な考えは、すべての高齢者が「この国に生まれてよかった」「日本人になってよかった」と思える国にすることだ。一生懸命に生きてきた高齢者の方々が、不安なく暮らせる国にすることだ。その実現のために精いっぱい努力していきたい。

※無断転載を禁ず

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