夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【69】小沢代表辞退には驚いた
2004.05.20

週末の訪朝に期待

 小泉純一郎首相が今週22日(土曜日)、金正日総書記と平壌で日朝首脳会談を行うことになった。
 国家の最高責任者が2度も訪朝する以上、拉致被害者の家族8人を直ちに帰国させるのは当然であり、「死亡」「不明」とされる拉致被害者10人や、拉致された疑いのある100人以上の日本人についても、北朝鮮に全面解決に向けた明確な対応を約束させなければならない。
 8人の帰国だけで拉致問題を幕引きにして、身代金のようなかたちで経済支援や人道援助をすることは絶対にしてはならない。
 加えて、金総書記に直接会うからには、核・ミサイル開発などの安全保障面についても、首相が6カ国協議からさらに1歩踏み出した約束を引き出してくることを強く期待したい。
 さて、民主党の新代表に内定していた小沢一郎代表代行が17日夜、緊急会見を開いて代表就任を辞退する意向を明らかにした。国民年金加入が義務付けられる前の昭和55年から6年間、年金に未加入だったとして、「政治責任がまったくないといえず。政治的ケジメを付ける」と語っていた。
 正直言って驚いた。今まで小沢氏を見ていた経験から言うと、確たる政治戦略があっての行動ではなく、気分屋ゆえに瞬間的に判断したものではないか。
 ただ、小沢氏や民主党が同じ年金未加入の立場にいる首相を追及してくるのは間違いない。政府与党として、この問題を明確に総括しなければならない。
 それにしても、年金問題はゴミ箱をひっくり返したような状態になった。
 本来なら、年金未納・未加入の問題が出てきたときに、首相が社会保険庁に指示して、全国会議員の納付状況を公表すればよかった。

政治不信高め反省

 そうすれば、ドロ沼の責任追及や暴露合戦ではなく、首相が「年金制度には欠陥がある。是正する方向で対応したい」と国会論議を進めることができたはずだ。ここまで政治不信、年金不信を高めたことは反省すべきではないか。
 今回の年金問題で改めて感じたのは、日本全体が「何が正しいのか」「正しくないのか」の座標軸を失いつつあるということだ。
 形式的に他者を批判する材料があれば、鬼の首を取ったように相手を追いつめる一方、問題があっても、その人物のフィーリングが良ければ問題にされない。冷静かつ論理的な判断ができなくなっている気がする。
 日本全体が溶解しつつある、空恐ろしさを感じてしまう。

※無断転載を禁ず

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