夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【73】イラク新政府の意向確認を
2004.06.17

多国籍軍への自衛隊参加

 主権移譲後のイラクで編成される多国籍軍に自衛隊が参加することについて、私の考えを述べたい。
 まず、小泉純一郎首相は判断理由について「新しい国連決議が採択された」などと語っているが、イラク新政府から「協力してほしい」という要請があったのか否かを確認していただきたい。
 首相がサミット出席のため訪れた米国で参加表明したため、国民の何割かは「ブッシュ米大統領に頼まれ、米国の占領政策の延長線上で日本も参加する」とみている。この部分を明確にすべきだ。
 また、首相は「多国籍軍に参加しても、自衛隊は独自の指揮権を確保する。活動内容は人道復興支援に限る」と語っていたが、主権移譲後のイラク国内での活動だけに、新政府との間でどのような条約・協定を結ぶかも重要である。
 これまでイラクは無政府状態だったが、新政府に主権が移譲される以上、その政府を承認して国交を結ぶことになる。多国籍軍を派遣する国連だけでなく、イラク新政府との法的整理もしっかりすべきだろう。
 そして、たとえ人道復興支援に活動内容を限っても、戦争状態に近い同国では武装勢力から攻撃を受ける可能性は高い。現状のように法的にも装備的にも手足をしばったままで、自衛隊員の生命を守れるのか十分に検討すべきだ。
 首相は「武力行使を目的とする活動に協力しないことは関係国に伝えてある」とも語っていたが、主権移譲前とは状況が変わるのだから、多国籍軍や新政府との間で、自衛隊員の安全確保について協議しなければならない。

隊員の命守れるのか入念協議を

  政府は18日にも、イラク復興支援特措法の施行令に新たな国連安保理決議1546を加える閣議決定を行い、自衛隊参加に向けた手続きを整える方針というが、これらの問題を先送りにすることは許されない。
 戦後日本にとって大きな転換期だけに、国会が閉会しても閉会中審査を開き、国民の代表である国会議員による議論をすべきだ。
 そうした手続きをおざなりにすれば、国民から「自衛隊派遣に関して粗雑過ぎる。少々危なっかしい」などと判断され、来月11日投開票の参院選で手痛いシッペ返しを受けないともかぎらない。

おざなりなら参院選でシッペ返し

※無断転載を禁ず

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