夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【76】「各党は日本の”未来予想図”示せ
2004.07.08

大詰めの参院選

 参院選の投票日が4日後に迫った。
 私は全国各地を応援のため飛び回っているが、そこで感じるのは国民が「政治の選択」を前にしてフッ切れていないことだ。
 この連載でも何度も述べてきたが、現在は幕末、昭和初期に続く歴史の大転換期である。国民の方々もそれを肌で感じているが、与野党の幹部たちが訴えているのは、政治手法の弁解や攻撃ばかり。
 確固たる世界観、国家観をもとに、「激動する世界の中で、日本を将来、こういう方向に導きたい」といった明確な提示がなされていないのだ。
 例えば、将来の世界について、多様な価値観や宗教観を認め合うような姿を構想しているのか、あるいは国連を軽視して始まった米国のイラク攻撃のように、一極集中した価値観や権力の行使を是認するのかなど、示すべきではないか。
 日本の将来についても、このまま米国型資本主義を進めて、無秩序に自由競争を激化させ、ごく一部の大金持ちと大多数の貧乏人が上下分離する「階層社会」を目指す方向で果たしていいのか。

大前提を無視した技術論戦は不毛

 こうした大前提を無視して、経済政策や年金改革を議論しても意味はない。現制度の延長線上で、問題回避の技術論だけを戦わせるなど不毛ではないか。
 報道機関の世論調査では、民主党の支持が広がっているようだが、同党幹部から世界観、国家観をもとにした日本の将来構想などは聞いたことがない。
 私は応援遊説などで日々訴えているが、将来の世界はやはり、多様な価値観や宗教観を認め合うべきであり、日本の外交も他国や多民族、他宗教への尊重と配慮を重視すべきだと考えている。
 日本の将来についても、社会に活力を与える競争は必要不可欠だが、富と所得が偏った階層社会の出現は好ましくないと考える。「他人を思いやり、いたわり合う」という日本人の矜持を大切にしながら、どんな家庭に生まれても努力次第で認められるような社会を築くべきだろう。
 私は「人命を守り、世界の平和を維持すること」「国民が物心ともに豊かな美しい日本を感じることができる国づくり」を目指している。
 選挙は「未来の選択」である。
 政治家はいま一度、国民に対して、日本を、そして世界をどういう方向に導いていこうと考えているのか、その理念や設計図を明確に示すべきだろう。

国民フッ切れず

※無断転載を禁ず

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