夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【77】自民・公明は”抱き合い心中”の危機
2004.07.15

支持基盤の崩壊

 参院選が終わった。開票翌日の小泉純一郎首相(総裁)の記者会見はよく分からなかったが、51議席の「責任ライン」に届かず、50の改選議席も割り込んだ以上、自民党としては潔く敗北を認めるべきだろう。
 こうした結果以上に、私はこの選挙戦で非常に深刻な自民党の現実について認識させられた。
 党の支持団体や支持基盤は確実に壊れてきており、このままでは次期総選挙はとても戦えず、自民党が、日本が沈没してしまう危機さえ感じた。
 今回も自公両党の選挙協力のテクニックとして、「選挙区は自民党候補に、比例区は公明党に」という訴えがなされたが、この背後で自民党の生命線ともいうべき後援会名簿の公明党への提出は続いていた。
 当然、この名簿を公明党はチェックしていくが、自民党の後援者たちはそれがイヤで公明党にも投票せず、自民党後援会からも逃げ出す悪循環となっていた。
 激戦区といわれた選挙区だけでなく、全国各地で同じようなケースが見られた。
 連立政権を組む以上、選挙協力は進めていくべきだが、差し引きで、どれだけ効果があったのかは疑問だ。お互いに政党のレゾンデートル(存在価値)を大切にする基本を忘れたら、手痛いシッペ返しを受けることになるだろう。

トップダウンでは

 政策的にも宿題は残された。
 イラク問題や年金問題、経済政策で見られたような、プロセス省略のトップダウン型では、今後、支持者や支持団体から見放されるだけだ。
 自公両党がそれぞれの党内や支持団体で、末端から政策全体を練り上げていくような具体的な議論・協議の場を設けるよう、早急に検討すべきだろう。
 こうした努力をしていかなければ、今後も長期政権を担当し得るような政党には脱皮できないと痛感した。
 参院選で示された有権者の意思を的確に読み取らなければ、自公両党は抱き合い心中していくことになる。公明党は生き残るかもしれないが、自民党はほぼ間違いなく死んでいくだろう。
 自民党に残された立て直しの時間は少ない。

選挙協力で効果あったかは疑問

※無断転載を禁ず

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