夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【79】1リーグではなく「夢のあるプラン」を
2004.07.29

 アテネ五輪の開幕が目前に迫ってきた。日本選手諸君が日ごろの練習の成果を十二分に発揮して、世界の舞台で活躍されることを心から期待したい。私もテレビで観戦しながら「ガンバレ、日本!」と声援を送ろうと思う。
 さて、最近の日本のスポーツ界を見ていて感じるのは、「プロ」と「アマチュア」の壁が徐々に低くなってきていることだ。
 野球などに代表されるように、わが国のスポーツ界はプロとアマが明確に区別されてきた。これは小中高校や大学などの学校を中心としてスポーツが発展してきたという歴史的経緯があるため。
 しかし、時代の流れの中で弊害も出つつある。世界に負けないスポーツ技術の向上や、科学的知識を持つ指導者の育成、多くの国民へのスポーツ普及といった面から、プロとアマの交流は避けられない時期にきているのは間違いない。

枠組みだけじゃ

 グローバリゼーションの波は日本のスポーツ界にも押し寄せている。プロ野球の一流選手が米大リーグに次々と挑戦したり、サッカーJリーグの人気選手が欧州の強豪クラブに移籍したり。
 衛星放送などで、海外の一流選手のプレーがリアルタイムで見られる情報化時代に、日本のプロ選手が世界水準とかけ離れた質の低い試合をしていたら、ファンの関心が海外に移っていくのは当然といえる。
 現在、日本のプロ野球では来季から1リーグ制に移行するか、2リーグ制を維持するかで、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論が交わされている。先日もプロ野球12球団の代表者、理事が集まって7時間近くも球界再編について討議したという。

プロアマ交流も

 1人の野球ファンとして言わせてもらえば、1リーグ制か2リーグ制かといった枠組みから考えるのではなく、どうすれば日本のプロ野球のレベルを底上げして、ファンに魅力を感じさせられるかを第一に考えるべきだと思う。
 例えば、サッカーのように各球団がユースチームを持って、地域に根ざして子供たちを育てていくのもいいし、社会人野球や高校野球の選手たちを、プロ野球の2軍の練習などに参加させて交流を図るのもいい。
 社会人野球とプロ野球をリンクさせて入れ替え戦のある新しいリーグや日本選手権などを構築するのもいい。スポーツ紙に載っていたが、日本と韓国、台湾、中国も含めたアジアシリーズの構想や、その勝者が大リーグのプレーオフに出場するといった話は、野球ファンをウキウキさせるはずだ。
 ともかく、野球ファンをガッカリさせるのではなく、新しいファンを増やすような夢のあるプランを考えてほしい。

※無断転載を禁ず

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