夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【81】靖国参拝を深く考える
2004.08.12

日本人の精神的領域に踏み込むのは容認できない
私も平和祈念

 私は昨10日、靖国神社を1人で参拝し、英霊に哀悼の意をささげるとともに、世界平和を祈念してきた。いつもは15日の終戦記念日に参拝しているが、今年はちょうど当日、東京にいないため前倒ししたのだ。
 日本の政治家の靖国参拝について、中国や韓国は毎年のように激しい反発をしているが、これは文化の違いが大きい。
 生命を賭して国家を守ってくれた先人たちに対する感謝の念と、世界の平和を祈ろうとする日本人の精神的領域まで踏み込むことは、いくら友好国でも容認できない。私はこうした思いを中国政府の要人にも伝えている。

理解も必要だが

 ただ、いくら自分では「浪花節は素晴らしい」と思っていても、窓を全開して大声でうなっていれば、オペラ好きの隣近所から「うるさいー」と文句を言われても仕方ないように、相手を理解して相手からも理解される努力をしなければならない。
 中曽根康弘元首相が首相に就任した直後、靖国神社への公式参拝を行ったが、その後、取りやめた背景には、こういった意識が働いたのかもしれない。
 われわれの文化を思い切って主張することがショック療法となり、近隣諸国に文化の違いを認めさせることもあるだろうが、逆に、両国関係に破局的事態を生むこともあり得る。
 国家の最高責任者である小泉純一郎首相は、そのあたりを十分踏まえて、自らの行動を決断すべきだろう。

ぜひ来年は陛下のご参拝実現を

 そうしたなか、東京都の石原慎太郎知事が「終戦60周年となる来年の8月15日にこそ、天皇陛下に靖国神社にご参拝していただきたい」と訴えていたが、私もまったく同感だ。
 兵士は自らの父母兄弟や故郷の山河に思いをはせながら、戦友たちと「靖国の森で会おう」と誓い、「天皇陛下、万歳!」といって戦場で散った。
 陛下のご参拝はそうした英霊を慰めるだけでなく、政治的権力者・当事者でない文化的存在であられる天皇陛下がご参拝されることは、外国がこれに政治的理由をもって批判することはできず、日本民族の(英霊の尊き犠牲に感謝し、世界の平和を祈る)精神を具体的に外に示すことになり、日本人の意識にも大きな影響を与えるに違いない。

※無断転載を禁ず

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