夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【82】「国連待機軍」構想には反対だ
2004.08.19

集団的自衛権の見解は国民の理解得て変えるべき

 アテネ五輪で女子柔道48キロ級で谷亮子選手が2連覇したのをはじめ、男子柔道60キロ級で野村忠宏選手が前人未到の3連覇を成し遂げるなど、メダルラッシュが続いている。私もテレビ観戦していたが、大きなプレッシャーがかかるなか、実に素晴らしい試合だった。
 君が代が演奏され、日の丸が掲揚されるのを見て目頭が熱くなった。先日、サッカー日本代表がアジア大会で優勝したのもそうだが、日本人選手の精神力は本当に強くなったと思う。
 選手諸君には心から、「おめでとう。感動をありがとう」といいたい。
 さて、話は変わるが、民主党の岡田克也代表が先月末の訪米中、「憲法を改正した上で、国連安全保障理事会の決議があれば、海外での武力行使を容認すべきだ」と発言して、党内で論争になっている。これとは別に、民主党内には小沢一郎前代表代行を中心として、自衛隊とは別組織の「国連待機軍」を作って、国連決議さえあれば海外での武力行使を容認する考え方があるが、この整理の仕方は極めて重大な問題をはらんでいる。
 日本国憲法が国権の発動たる武力行使を認めていないため、国連決議に基づいて行動する別の軍隊を作り、国権の発動をすり抜けて、他国や武装勢力と戦火を交えても構わないというなら、「国家主権とは何か?」といった問題になる。
 それぞれの国家が主権国家として存在している以上、憲法との整合性がなければ、どんな軍隊も存在できないし行動できない。私はとても小沢氏のような判断を取るわけにはいかない。
 ただ、集団的自衛権に対する政府見解は、国民の理解を得て、変えるべきだと考えている。
 私は政調会長時代、「同盟国が侵略や攻撃を受けた場合、集団的自衛権を行使することは現憲法下でも禁止されていない。ただ、同盟国が一方的に他国を攻撃した場合は(集団的自衛権の行使は)容認されない」と話したことがある。
 この観点からいうと、すでにイラクに派遣されている自衛隊や、現地で協力して活動している同盟国がテロリストなどから攻撃を受けた場合、集団的自衛権を適用して反撃できると考えられる。派遣隊員の生命や身体を危険から守るためにも、早急に政府見解を変更して、関連法や装備の整備をすべきではないか。
 日本国憲法が改正の手続きを厳重にしている硬性憲法である以上、世界に貢献して国益を守るためにも、政府見解の変更は柔軟に考えていいはずである。

※無断転載を禁ず

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