夕刊フジ連載
労使交渉混乱必至
プロ野球再編をめぐる、経営者側と選手会側の対立が深刻化している。
先日予定されていたストライキは「近鉄が大阪に残る可能性がある」として回避されたが、13日に行われた球団代表者による実行委員会で、オリックスと近鉄の合併に関して「凍結なし」の方針が再確認されたのだ。
16日に再開される労使交渉は混乱必至で、今週末、プロ野球史上初のストに突入する可能性が高まっているという。
1人の野球ファンとして言わせてもらうが、現状のままでは日本のプロ野球のファン離れは加速するばかりではないか。
以前、このコラムにも書いたが、スポーツ界にもグローバリゼーションの波が押し寄せてきており、いまは衛星放送などで、米大リーグの一流選手たちのプレーがリアルタイムで楽しめる時代だ。
当然、ファンの関心は質の高いプレーを見せる大リーグに移りつつあり、イチロー選手や松井秀樹選手のように大リーグに挑戦する選手も増えている。日本のプロ野球が大リーグのマイナー的存在になる危険性まで指摘されている。
経営者側と選手会側は「オリックスと近鉄の合併」「1リーグ制の是非」などをめぐって協議・交渉しているようだが、そんなことで、プロ野球に関する問題が根本的に解決できるとは思えない。
資金力のある球団が有名選手をどんどんかき集め、人気チームが特定化されるような状況では、プロ野球の活性化はとても期待できない。
将来のために
どうすればプロ野球全体のレベルを底上げして、ファンに魅力を感じさせられるかを第一に考えるべきだと思う。
これも以前に提案したものだが、サッカーのように各球団がユースチームを持って、地域に根ざして子供たちを育てていくのもいいし、社会人野球や高校野球の選手たちを、プロ野球の2軍の練習などに参加させて交流を図るのもいい。
社会人野球とプロ野球をリンクさせて入れ替え戦のある新しいリーグや日本選手権を構築するのもいい。日本と韓国、台湾、中国も含めたアジアシリーズの後送や、その勝者が大リーグのプレーオフに出場すると行った話は、野球ファンをウキウキさせるのではないか。
ともかく、スト突入となれば野球ファンがガッカリするのは必至だ。力による対決ではなく、経営者側と選手会側はプロ野球の将来のために腹を割って話し合い、新しいファンを増やすような夢のあるプランを考えるべきだ。
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