夕刊フジ連載

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亀井静香のこれから勝負だ!
【87】大規模災害時の対応見直しを
2004.09.23

相次ぐ自然災害

 日本列島では最近、自然災害が相次いでいる。
 地震発生は頻発しており、今月5日に近畿地方で震度5弱を記録したのをはじめ、7日には東海地方から近畿地方にかけて震度4を観測。同じ日には新潟県を中心に震度4を、翌8日には東海、近畿地方を中心に震度3を観測した。
 台風は現時点で年間最多の7つも上陸し、新潟県や福井県などに甚大な被害をもたらした。また、群馬、長野県境にある浅間山は、今月に入って中小規模の噴火を数回繰り返している。
 「ノド元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざがあるが、わが国が太古の昔から、自然の脅威と戦ってきたことを思い起こし、被害を最小限に抑える努力をしなければならない。
 私は平成7年の阪神・淡路大震災を運輸省として経験した。人口密集地である都市部の大災害に対し、やはり従来の災害関連法規や制度では不十分な面が多かった。私も被災者への物資輸送やヘリポート設置などを、所管の海上保安庁に直接指示した思い出がある。
 あの大震災後、政府や行政機関では危機対応力の強化、災害時の連絡体制の確保、災害関連法の整備などがはかられたが、来年10周年を迎えるにあたり、見直すべき時に来ているのではないか。医療機関の対応や誘導などに問題はないか?
 避難場所の安全確保や食糧・飲料水等の備えは万全か? 一時、積極的に進められた防災公園の整備はどうなっているのか?
 公共事業削減が叫ばれているが、災害から国民の生命を財産を守るためには、ある程度、思い切った財政支出は必要だろう。
 大規模災害時には正確かつ迅速な情報収集・現状把握が不可欠となる。日本には多くの行政機関があるが、現時点では警察にかなう組織は存在しない。
 私の個人的見解だが、東海地震や南関東直下地震など人口密集地で広範囲にまたがる大地震が発生した場合、被災者の生命と財産を守るためにも、正確な情報が最も早く集まる警察庁長官に権限を一元化して、その指揮下に消防や海上保安庁、自衛隊などを組み込んで対応すべきではないか。
 当然、警察庁長官は首相の指揮監督を受けるが、一刻を争う非常事態に現実的かつ効率的に対応するには、従来の行政組織の権限や縄張りを超えて、情報が集まる警察庁長官が即断即決して、具体的に直接指示すべきだ。こういうことは臨時の処置として特別法で対処すればいい。
 最近相次ぐ自然災害を見ながら、早急に対応すべきだと確信している。

※無断転載を禁ず

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